イスラム政党と「スラム」政党 こうした格差と隔離と疎外の中で暮らし、政府に見捨てられた人々に救いの手を差しのべたのが、イスラム系の組織であった。トルコの公正発展党であり、エジプトのムスリム同胞団であった。あるいはパレスチナのハマスであった。 こうした組織は、それぞれの地域での最大の福祉機関であり、人道NGOである。人々はモスクに集まり、農村のコミュニティの暖かさの代わりを求めた。モスクを拠点とするイスラム組織が、その暖かさを提供した。 そもそも中東では、欧米式の教育を受けたエリートたちや、地方の地主たちを支持基盤として政党が結成された。大半の政党は、そのエリートたちや地主層のために活動してきた。そして、第2次世界大戦後に多くの国々で軍がクーデターによって実権を握った、やがて軍事政権が退場すると、後に軍の意向を反映した政党が残った。いずれも貧しい人々に訴えようとの姿勢の政党ではなかった。 そ