電力消費を大幅に削減する「パワー半導体」の基盤に使われる炭化ケイ素(SiC)の実用化に貢献したとして、電気電子工学分野の世界的学会「IEEE(アイトリプルイー)」から今年5月に「エジソンメダル」が贈られた京都大の松波弘之名誉教授(84)=京都府八幡市=が八幡市役所で記者会見を行い、喜びを語った。日本人のエジソンメダル受賞はノーベル物理学賞を受賞した赤崎勇氏らに続き4人目。 昭和14年、大阪市生まれ。37年に京都大工学部卒業後、米ノースカロライナ州立大客員准教授や京大工学部教授などを歴任した。 松波さんと炭化ケイ素の出会いは43年。当時の炭化ケイ素の用途は研磨剤や耐火材が中心だったが、研究室にあった書籍に半導体への応用の可能性が記載されていた。誰も炭化ケイ素への関心がなかった中、松波さんは「人と違うことをやりたい」と研究への挑戦を始めた。 当時は無謀な研究と思われた。基盤に必要なシリコンと炭