「個人情報保護法」は、本来情報取扱業者のモラルを保ち、より豊かな情報社会を実現するのが趣旨だったはずだ。ところが、施行から半年、情報保護の意味を拡大解釈して情報公開を拒む行政や大企業、ひたすらプライバシーばかりを要求する個人といった醜悪な歪みを生みつつある。モラルなき土壌には法律は機能しない。これでいいのか…。 行き過ぎた個人情報保護が問題に 読売新聞の8月20日土曜茶論に「名も知らぬ人と同室 担任の住所ない連絡簿 喜ぶのは独裁者だけ」という記事が載った。個人情報保護法が施行されて5ヶ月余り、市民生活の現場で起こっている混乱ぶりを的確に表した記事なので、ここで紹介したい。 まず、直木賞作家の山本一力氏の話。友人の結婚式へ祝電を打とうとして下の名前を忘れたのでホテルに電話したら「個人情報なので教えられません」と断られた。山本氏は「なぜこちらが身元も明かして祝電を打つためと理由も話したのに