◇義務化は尚早、まず実態調査を 心疾患のリスクを高めるとされるトランス脂肪酸について、消費者庁は10月、食品事業者に自主的な表示を求める指針案を公表した。今後は義務化を検討するというが、そもそもトランス脂肪酸は日本人にとって脅威ではない。まずは、健康にどんな影響を与えているのか調査が必要で、表示の義務化は尚早だと思う。 トランス脂肪酸は油脂の一種。液体の植物油をマーガリンやショートニングなどの固体に加工する時に生じる。ケーキ、ドーナツ、パン、マヨネーズ、クリーム類に多く含まれ、サクサクした食感が出る。取り過ぎると動脈硬化や心疾患のリスクが高くなることから、世界保健機関(WHO)は03年、1日当たりの摂取量を総エネルギー量の1%未満(日本人は2グラム前後に相当)となるよう勧告した。 現状はどうか。食品安全委員会によると、日本人の平均摂取量はエネルギー比で約0・3~0・7%。1日の平均摂取量も