想像をかきたてるラディカルな本 借金やローンは悩みの種だ。借金なんかしなければよかったと思っても後の祭り。家や車がほしかったり、教育資金や事業資金が必要だったりと、借金には人さまざまな理由がある。商売がうまく立ちゆかず、負債に悩んでいる人も多い。板子一枚下はまさに借金地獄。それなのに、国が1000兆円以上も借金をかかえながら、ひとごとのように平気な顔をしていられるのは、なぜか。 本書の著者、デヴィッド・グレーバーは、イギリスの名門大学、ロンドンスクール・オブ・エコノミクス(LSE)の人類学教授で、アナキストの活動家としても知られる。「われわれは99パーセントだ」というスローガンをつくり、ウォール街占拠運動の理論的指導者として一躍有名になった。反グローバリズムを唱え、サミットにも反対している。そのグレーバーの代表作が、この『負債論』である。 『負債論——貨幣と暴力の5000年』(デヴィッド・