『レジリエンス こころの回復とはなにか』,セルジュ・ティスロン著,白水社発行,2016年刊行 「あなたにとっての『レジリエンス』の意味を言い給え、そうすればあなたがどんな人かを言い当てて見せよう」——かのブリア・サヴァランの名言をもじった言葉で、著者はこの本を締めくくっている。何とも絶妙だ。 とにかく生きてるだけで青息吐息だと、みんなが思っているこの世界で、レジリエンスという言葉はもう盛りを過ぎたかも知れないと思うほどに咲き乱れている。 この本は、その「レジリエンス」という言葉が、発している人が想像している以上に、様々な違った意味合いで使われていることを出発点に、「レジリエンス」概念の繊細さを考える本だ。 なので、「どうやったらレジリエンスを身につけられるかを知りたいの〜」という立場で読んではいけない。たぶんそのつもりで読むと絶望してしまう(笑)。 ただし、誤解してはいけないのだが、著者は