きらびやかな民族衣装「キラ」を身につけて「経済的な繁栄よりも、精神的な充足を重視すべきです」と、並み居る環境学者らを前にスピーチ。しかし、ひとたびホテルに戻り一粒種の王子をあやす姿は日本の若いママと変わらない。 ブータンは中国とインドに挟まれたヒマラヤの王国。人口70万人足らず、面積は九州ほどの小国ながら、約40年にわたり、経済成長至上の国民総生産(GNP)でなく「国民総幸福(GNH)」の理念を掲げた国造りを進めることで注目される。地球環境の保全に貢献した人を顕彰する今年の「KYOTO地球環境の殿堂」入りの一人に選ばれた父親のジグメ・シンゲ・ワンチュク前国王の名代として来日した。 王家の生まれながら、高校まで公立学校に通った。大学を卒業後、父親に「開発に取り残された人々を支援するよう」指示され、出産間際まで、1年の大半は首都ティンプーから遠く離れた村々を巡回した。 小学校の教室で雨露をしの