沖縄県立中部病院 感染症内科・地域ケア科 副部長 地域のニーズに耳を傾ける真喜志(以下、真):高山先生は非常に特異なご経歴をお持ちです。まず、医師を目指されたきっかけは何でしたか? 高山(以下、高):医学科入学前にカンボジアの農村で社会調査をしていました。そこで多くの乳幼児が感染症で死亡していることはわかるのですが、その原因も、どうすれば助けられるのかも全くアセスメントできなかったのです。現場にいながら、自分には何も分からない。何もできない。その無力感が、医師を目指したきっかけでした。 真:そして医学部卒業後、HIV診療に携わられたのですね。 高:はい。学生時代に途上国を旅していて、社会的弱者にエイズが蔓延していることに衝撃を受けたからです。世界的にエイズは深刻な問題でした。まずはHIV診療ができる医師を目指して、九州のHIV診療の中核拠点である国立病院九州医療センターで臨床研修を受けまし