軍事転用可能な基礎研究の資金を助成する「安全保障技術研究推進制度」で、防衛省が一件の研究への助成額上限を、現行の十倍超の数十億円へ引き上げることを検討していることが分かった。武器や装備品に必要な技術研究開発を進める政府方針の下、現行制度ではカバーできない高額な予算が必要な研究をする大学や研究機関の取り込みを図る。 (望月衣塑子) この動きに、軍学共同や沖縄基地問題で発言している世界平和アピール七人委員会の委員も務める慶応大の小沼通二(みちじ)名誉教授(物理学)は「軍学共同をさらに前進させるもので、平和を追求すべき科学者のあり方をゆがめる」と懸念する。 二〇一五年度に始まった技術研究推進制度にはこれまで百五十三件の応募があり、十九件の研究が採択された。いずれも助成の上限は三年間で一億二千万円。防衛省は来年度、この助成枠と別に、一件の研究に五年間で数十億円をつぎ込む新たな助成枠を設ける方針