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ブックマーク / davitrice.hatenadiary.jp (9)

  • ピーター・シンガーの公式FAQ - 道徳的動物日記

    プリンストン大学のwebページに掲載されている、ピーター・シンガーの公式FAQを非公式に翻訳した。発展途上国への援助と寄付・動物の道徳的地位・障害のある乳児の殺害や安楽死など、シンガーの主張のなかでもよく取り沙汰されているテーマについて、人によって短くまとめられている。 (https://www.princeton.edu/~psinger/faq.html) この webページは数年前のもののようであり、この後に主著の『実践の倫理』が第3版に改定されているなど、シンガーの倫理学的主張は細かいところでは変わっている可能性がある。とはいえ、現在でも大体の主張はこのFAQに掲載されている通りのものだろう。理論の根拠付けや詳細などは『実践の倫理』で議論されているので、そちらを参照するべき(英語が読めるなら、まだ翻訳が出ていない第3版が望ましい)。 最後に著書の紹介があるが、情報が古かったので翻

    ピーター・シンガーの公式FAQ - 道徳的動物日記
  • 左派は動物の権利を支持するべきか? - 道徳的動物日記

    togetter.com このTogetterに関わる論点として、数年前に要約して翻訳して紹介した ウィル・キムリッカとスー・ドナルドソンの論文「動物の権利、多文化主義、左派」から一部抜粋して紹介してみよう(手抜き記事である)。 現在、米国の動物の権利運動は「左派の孤児」と表現される境遇になっている。進歩的左派は女性・同性愛者・障害者・移民・人種マイノリティ・先住民などの権利を守るために、社会的正義や少数者の市民権を主張する運動を行ってきたが、動物の問題はラディカルな環境運動のなかで多少注目される程度で、左派の運動のなかでは無視されてきた。この傾向は19世紀から続いてきたものであり、左派は動物に対する人間の暴力を無視し続けてきた歴史がある。 ・・・現在では、フェミニズム運動・障害者運動・多文化主義運動などの影響により、左派は「人間の価値は合理性や知性や能力にある」という考え方を拒否するよう

    左派は動物の権利を支持するべきか? - 道徳的動物日記
  • 弱者男性論とか女性だけの街とかについての雑感 - 道徳的動物日記

    Twitterはてななどで「弱者男性」論を見かけたり、また先日の「女性だけの街」に関する議論などを見かけた際には、モヤモヤすることが多い。モヤモヤを吐き出すために雑感を書いてみた(あまり論理的ではない、感覚に頼ったくどい文章になってしまったが)。 ・「弱者男性」論もさまざまであり、私もすべての「弱者男性」論に目を通したり体系的に整理したりした訳ではないが、その多くは男性が抱く「自分が男性であるということ」に由来するプレッシャーや苦しみを強調し、またその中の一部は「女性の苦しみだけを取り上げて女性に対する優遇を主張して、男性の苦しみを無視したり弱者である男性に対して攻撃を加えている」としてフェミニズムを攻撃する傾向があるように思える。 (長らくフリーターをやっていて体力も弱い方でコミュ力もあまりなくスキルもあまりないから稼金能力がなく甲斐性がない男性である)私自身も、「自分が男性であるとい

    弱者男性論とか女性だけの街とかについての雑感 - 道徳的動物日記
  • アニマルライツとフェミニズム - 道徳的動物日記

    The Feminist Care Tradition in Animal Ethics: A Reader 作者: Josephine Donovan,Carol J. Adams 出版社/メーカー: Columbia Univ Pr 発売日: 2007/11/01 メディア: ペーパーバック 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る ヴィーガンフェミニズム論争とは何だったのか ・上記のSutaro氏の記事にも書かれているように、Twitterにてフェミニストのシュナムル氏が「ハーゲンダッツをべた」という旨の発言をしたことに対して、ヴィーガンのRac氏が「フェミニストなのに乳製品を肯定するのか」と批判しことをきっかけに、ヴィーガニズムとフェミニズムに関わる議論がにわかに巻き起こったようだ。その議論にはいわゆるTwitter論客も多数参加していたようだが(そして、その大

    アニマルライツとフェミニズム - 道徳的動物日記
  • 「功利主義:5人を救うために1人を殺すことは道徳的か?」 by フランク・S・ロビンソン - 道徳的動物日記

    Utilitarianism: Is Killing One to Save Five Moral? | The Rational Optimist 今回紹介するのは、フランク・S・ロビンソン(Frank S Robinson)という人のブログに掲載された、ジョシュア・グリーンの『モラル・トライブズ - 共存の道徳哲学へ』の書評的な記事。功利主義の考え方の説明やよくある誤解・反論に対する再反論が短くまとめられていると思うので紹介することにした。 「功利主義:5人を救うために1人を殺すことは道徳的か?」 あなたは暴走したトロッコが5人の人間にぶつかって殺してしまいそうになっている状況に出くわした。あなたがスイッチを押せば、1人の人間しか殺されずに済む線路へとトロッコの進路を変えることができる。あなたはスイッチを押すべきだろうか?大半の人は、イエスと答える。しかし…あなたが橋の上にいて、1人の

    「功利主義:5人を救うために1人を殺すことは道徳的か?」 by フランク・S・ロビンソン - 道徳的動物日記
  • 普通選挙権は倫理的に認められるか? - 道徳的動物日記

    オックスフォードのPractical Ethicsブログに、2015年の4月に倫理学者のジョセフ・ボーウェン(Joseph Bowen)が公開した記事を訳して紹介。 blog.practicalethics.ox.ac.uk 「選挙権を認められるべき人々とは誰だろうか?」 by ジョセフ・ボーウェン あなたが思い付けるなんらかの事件(どれだけ些細な事件であってもよい)について、陪審員たちが判決に達したと仮定してみよう。そして、その陪審員たちに関する以下の事実が明らかになったとも仮定しよう。 1:無知な陪審員。その陪審員は裁判に対して全く注意を払わず、被告についてどう考えるかと聞かれた時には、有罪であると恣意的に決め付けた。 2:非合理的な陪審員。その陪審員は裁判に対して多少は注意を払ったが、裁判とは関係のない理由…希望的観測や奇妙な陰謀論など…に基づいて結論を下した。 3:道徳的に不当な陪

    普通選挙権は倫理的に認められるか? - 道徳的動物日記
  • 社会運動を効果的に行うためにはどうすればいいのか? - 道徳的動物日記

    Change of Heart: What Psychology Can Teach Us About Spreading Social Change (English Edition) 作者: Nick Cooney 出版社/メーカー: Lantern Books 発売日: 2015/09/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 今回は、ニック・クーニー(Nick Cooney)の著書『心を変える:社会を変える方法について心理学が教えてくれること(Change of Heart: What Psychology Can Teach Us About Spreading Social Change)』について軽く紹介しよう。 クーニーは主に動物愛護運動を行っている社会活動家であり、  Wikipediaによると、Mercery for Animals や The Hu

    社会運動を効果的に行うためにはどうすればいいのか? - 道徳的動物日記
  • 男性が自殺するのは「支配欲」が原因だって? - 道徳的動物日記

    wezz-y.com wezz-y.com 今日は、Wezzyというサイトに掲載された社会学者の平山亮のインタビューについて取り上げようと思う。タイトルからも察せる通り、男性が感じる社会的なプレッシャーや苦痛を問題として取り上げるタイプの「男性学」に対して平山は批判的なのであるが、インタビューを見ていると「男性学」への批判が行き過ぎている箇所や男性が感じるプレッシャー・苦痛についてあまりに無頓着で鈍感なのではないかと思わされる箇所が所々にある。引用しつつ反論したいと思う。 とりあえず、私が最も問題に思ったのは、【2】の3ページ目に掲載された以下の箇所。 ――(註:"男性学"学者の)田中俊之さんは『男がつらいよ』(KADOKAWA)の中で、日人男性の自殺率の高さを取り上げ、日の過剰労働を紐づけて「男の生きづらさ」だ、とまとめているように読めました。自殺するほど男は追い詰められているのだと

    男性が自殺するのは「支配欲」が原因だって? - 道徳的動物日記
  • 「私が功利主義者ではない理由」 by ジュリアン・サバレスキュ - 道徳的動物日記

    blog.practicalethics.ox.ac.uk 昨日に引き続き、Practical Ethics からジュリアン・サバレスキュ(Julian Savulescu)の記事を紹介。 「私が功利主義者ではない理由」 by ジュリアン・サバレスキュ 功利主義は多くの人々に嫌われていて、中傷されていて、誤解されている道徳理論である。 あのカントも、功利主義とはイギリスの小売商人の道徳でしかないと論じていた(カントは、自分自身が考えた"物自体"の世界に踏み入れるというずっと高尚な野望を抱いていたのだ)。 "功利主義的な"という形容詞は、いまでは"マキャベリ主義的な"のようなネガティブな意味合いを含んでいる。"目的は手段を正当化する"ということや人々を単なる手段として扱うことや人間の尊厳を尊重しないこと、などなどと関連付けられているのだ。 たとえば、以下の文章における"功利主義者"という言葉

    「私が功利主義者ではない理由」 by ジュリアン・サバレスキュ - 道徳的動物日記
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