84歳・養老孟司さん(左)、75歳・池田清彦さん。合計159歳、ニ人の「年寄り」の本気の問題提起をどう受け止めるか 直近では『80歳の壁』(和田秀樹)が代表格だが、このところ『老いの福袋』『九十八歳、戦いやまず日は暮れず』『おひとりさまの最期』等々、高齢者をメイン読者にしたとみられるベストセラーが定期的に生まれている。 40歳にして惑わず、50歳にして天命を知る、などといった「論語」の時代とは異なり、今は70歳も80歳もまだ人生を模索しているということなのだろうか。 『バカの壁』などで知られる解剖学者の養老孟司さんは、こうした本が読まれる背景についてこう語る。 「まさに高齢化社会ということなのでしょう。本を読むことで、自分の年齢に価値を見出したい人が増えてきているのではないでしょうか」 その養老さんも最近、「老人本」ともいえる本を出した。『年寄りは本気だ』――生物学者、池田清彦さんとの対談
2本のスティックが激しく宙を舞う。息つく間もなく次々と叩き出される愉快な音。天才ドラマー、相馬よよかさん(12)。才能は早くから弾けました。9歳でニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に、また11歳で世界的なドラム関連サイト「ドラマーワールド」の世界トップ500ドラマーに、いずれも史上最年少で選ばれました。アメリカのシンガー、シンディー・ローパーさんや、ロックバンド「ディープ・パープル」のドラマー、イアン・ペイスさんら世界の著名アーティストと共演してきました。 北海道石狩市に住むよよかさんとオンラインで対面したのは小学校の卒業式目前の3月でした。ドラムを叩く激しさとは打って変わって、ふんわりとした存在感。12歳とは思えないほどの深みのある言葉が出てきます。よよかさんは、日本を離れる決意をしていました。世界に挑戦するためだけではありません。もうひとつの理由がありました。 ■「
<長く平和を享受してきた日本人が、ウクライナのような戦場の悲惨さや理不尽さを実感できないのは当然。ただ、だからこそ平和が続くよう努力する必要がある> しばらく前に、筆者と同じくイラン出身で同年代の女性と日本人を交え、それぞれの子ども時代の話をしたことがあった。日本の人は当時はやったアニメや消しゴムの話をしていたが、イラン出身の彼女は私にボソッと「私たち偉かったよね、頑張ってたよね」と言った。「小学生の頃1年間くらい学校が閉鎖されて、ずっとテレビの授業を見ながら家で勉強していたじゃない? サイレンが鳴ると防空壕に避難して。覚えているでしょ?」 【動画】怒れるウクライナ市民たちが丸腰でロシア戦車に立ち向かう 彼女にそう言われるまで、私は長い間その頃のことを思い出すこともなかったが、確かにそういう生活だった。私が小学校低学年の頃、生まれ育った首都テヘランはイラン・イラク戦争の真っただ中だった。
防戦いっぽうのウクライナだが、国際社会の助けを得て、正規の手段でプーチンを追い込むことができるかもしれない。戦争犯罪人として責任を追及するため、活発な証拠収集が始まった。 ●動画:国際法に反するロシアの蛮行の映像 ロシアは2月28日以降、ウクライナの民間人を故意に狙ったとみられる攻撃を増加させている。北東部オフティルカの住宅街では、幼稚園の付近にクラスター弾(国際条約で禁止されている)が着弾した。ほかにも民間施設を標的にした攻撃が加速している。 国際法に反するこのような蛮行を映像や記録に残し、分析して証拠を固める動きが出始めた。最終的にはプーチン大統領を国際刑事裁判所に呼び出し、実質的な終身刑を言い渡すことができる可能性がある。 ■ 市民による記録映像を分析 ウクライナ側の犠牲者はこれまでに2000人を超えた。首都キエフでは数千人もの市民が地下鉄駅で身を寄せ合い、眠れぬ夜を過ごしている。
真鍋淑郎・米プリンストン大学上席研究員(90)が、2021年のノーベル物理学賞を受賞した。同じ日本人として誇らしい思いになった人は多かったかもしれないが、真鍋氏は米国籍を持つ。記者会見で停滞する日本のサイエンス研究に一石を投じた発言は大きな反響を呼んだ。 【ランキング】ノーベル賞受賞者の出身大学・大学院・所属大学<全3ページ> 愛媛県新立村(現四国中央市)で生まれ育った真鍋氏は、東大大学院で博士号を取得すると渡米してアメリカ国立気象局(現海洋大気局)に入局。1960年代に地球の気候を解析する手法を開発し、大気中の二酸化炭素濃度の増加が地球温暖化に影響することを実証。その業績が高く評価され、ドイツの研究者とともにノーベル物理学賞を受賞した。 97年に日本に帰国し、宇宙開発事業団と海洋科学技術センターによる共同プロジェクト「地球フロンティア研究システム」の地球温暖化予測研究領域の領域長に就任し
「信者」を減らさないと、日本の将来は暗い。東京五輪を機に、チャンスとリスクを議論して判断できる日本へと変わるべきだ 人間は何かを行う前に、「チャンス」と「リスク」を秤(はかり)に掛けて判断する。東京五輪では、選手が国民に感動を与えることがチャンスで、試合場の選手団や観客から新型コロナウイルスが広がるのがリスクである。 【写真特集】フクシマの10年 しかし、テレビや新聞はリスクだけを報道し、秤に掛けるような議論は進まなかった。結局、時間切れで中止にはならず、IOC(国際オリンピック委員会)にいいように引き込まれて大会は始まった。 五輪開催が失敗だったか成功だったかは、閉会式まで分からなかった。たまたま日本の金メダルが予想以上に多かったから、JNNの世論調査では「開催してよかった」「どちらかといえばよかった」と思う人が61%になった。 もしも予想以上に少なかったら、五輪はコロナ第5波の主因とし
今や先進国でも賃金の低い国になってしまった日本。ポップミュージシャンからジャズマンに大胆転身し、米国で活躍する大江千里氏は、「日本は賃金や物価が安くなるにつれ、保守的で閉鎖的な社会になっているんじゃないかな」と指摘する。『週刊ダイヤモンド』8月28日号の第1特集『安すぎ日本 沈む給料、買われる企業』に掲載した大江千里氏のインタビューの、ロングバージョンをお届けする。(聞き手、構成/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ) 【この記事の画像を見る】 ● 日本の驚異的な「安さ」は 働く人の我慢と犠牲が支えている 日本と米国を行ったり来たりしていると、日本の物価の安さは「お手頃でうれしい」を通り過ぎて心配になるほどです。コンビニエンスストアでどっさり買い物をしても1000円にならないし、家賃も安い。 日本には500円で買える「ワンコインランチ」という言葉がありますが、ニューヨークだと5ドルじゃサ
東京のオリンピックスタジアムで行われた2020年東京オリンピックの閉会式で、国旗が掲げられている=2021年8月8日 - 写真=SPUTNIK/時事通信フォト 緊急事態宣言下で開催された東京オリンピック。閉会を迎えた今、若者たちはどんな思いを抱いているのでしょうか。期間中をどう過ごし何を感じたか、大学生と高校生の総勢10人が語り合いました。司会と解説は『Z世代』(光文社新書)の著者、原田曜平さんです――。 【この記事の画像を見る】 ---------- 【座談会参加者】 國武/立教大学3年生 森/青山学院大学4年生 鈴木/慶應義塾大学4年生 土井/立教大学2年生 矢追/早稲田大学3年生 山崎/慶應義塾大学2年生 池上/日本大学1年生 青野/専修大学2年生 岡田/高校2年生 赤峰/高校3年生 ---------- ■若者たちは大会をどう見たか 【原田】開催前には多くの反対があった東京五輪です
アイスランドの公的部門で試験的に労働時間を短縮したところ、職場の生産性はおおむね維持・向上し、労働者のストレスや幸福感は大幅に改善するという結果になった。結果を分析した研究機関は「大成功」だったと評価し、ほかの政府も教訓にできそうだと述べている。 コロナ禍の間にはリモートワークが企業側にとっても従業員側にとっても非常に効果的だったことから、労働者はより良いワークライフバランスに向けた新たな可能性に気づくようになっている。その流れで、週休3日制が話題になったり、時短勤務や時間差勤務なども試されたりしている。 アイスランドの試験は、労働時間の短縮は生産性や職場での幸福感の向上につながるかを調べるため、政府と首都レイキャビクの市議会が2015年から19年にかけて行ったもので、その結果がこのほど公表された。アイスランドは高福祉国の北欧諸国のなかでは例外的に、労働時間が比較的長い。 試験はさまざまな
「日本は世界でもトップクラスの豊かな先進国である」というのは、多くの日本人にとって当たり前の話だった。 だがその常識は近年、音をたてて崩れ始めている。諸外国と比較して日本人の賃金は大幅に低くなっており、近い将来、中国や東南アジアに出稼ぎに行く人が増えるのはほぼ確実と言われている。 多くの読者の方は「そんなバカな」と思われるかもしれないが、日本が急速に貧しくなっているのは紛れもない事実である。私たちはこの厳しい現実を受け入れ、従来の価値観から脱却する必要がある。 平均賃金ではすでに韓国以下 OECD(経済協力開発機構)が行った賃金に関する調査は衝撃的だ。2019年における日本人の平均賃金(年収)は3万8617ドルだったが、米国は6万5836ドル、ドイツは5万3638ドルと大きな差を付けられている。 それだけではない。かつては途上国というイメージの強かった韓国ですら、4万2285ドルとすでに日
絵画『死の勝利』(ピーテル・ブリューゲル、1562年)には、社会に壊滅的な打撃を与えた疫病と戦争がヨーロッパ人の想像力に残した強烈な印象が描き出されている。(PHOTOGRAPH BY ORONOZ/ALBUM) またたく間に世界を大きく変えてしまった新型コロナウイルス感染症。わたしたちの暮らしや社会が今後どうなるのか心配な人は多いだろう。 関連ギャラリー:黒死病からコロナまで【感染症、歴史の教訓】画像20点 だが、世界を大きく変えたパンデミックを人類が経験するのは初めてではない。その最たる例が中世の「黒死病」だ。 歴史上、黒死病の大きなパンデミックは3度あった。1665年の英国ロンドンや19世紀~20世紀にかけても猛威を振るったが、史上最悪の規模となったのは1347年から1351年にかけてヨーロッパを襲った黒死病だ。なんと当時の欧州の人口の3分の1が命を落としたとされる。 中世ヨーロッパ
トリクルダウン理論は「富める者が富めば、貧しい者も自然に豊かになる」という経済に関する仮説で、大企業や富裕層の支援政策を実施する際の論拠として引用されてきました。しかし、先進国で実施されたトリクルダウン関連政策を分析したところ「富裕層がさらに富む効果しかない」ことがわかったと、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの研究チームが発表しました。 The economic consequences of major tax cuts for the rich - LSE Research Online http://eprints.lse.ac.uk/107919/ Footing the COVID-19 bill: economic case for tax hike on wealthy https://theconversation.com/footing-the-covid-19-b
<「ゴミ」か「ごみ」か>新型コロナウイルスの感染拡大の中、激励の声が送られるようになったトラックドライバーは、昔からよく「国の血液」に例えられる。社会インフラとして、消費者のもとにモノを届けるという意味合いで言えば、彼らが走っている“血管”は「動脈」ということになるだろう。 医療従事者とともに、そんなトラックドライバーへの称賛が先んじて増えていったある日、筆者の元にこんな言葉が届いた。 「自分たちも国の血液。『静脈』を走っているんです」 ごみ収集員からだった。 モノの流れは、「作られ、運ばれ、消費者に届いたら終わり」なのではない。消費された後に出るごみを処分するまでが物流なのだと、その声にはっとさせられた。 筆者が「ごみ」を「ゴミ」と表記しないのには理由がある。 彼らごみ収集員の記事を書くにあたり取った初めてのアンケートで、ある収集員からこんな意見をもらったことがきっかけだった。 「『ゴミ
「コロナ禍や気候変動の原因は、人類の経済活動が地球を破壊していることにある」。そう語るのは、新著『人新世の「資本論」』を上梓した斎藤幸平氏だ。資本主義のもと、現代人が無限の経済成長を追求したせいで、環境危機を引き起こし、地球を人間が住めない場所にしつつあると指摘する。しかし、資本主義を捨てた文明に繁栄はあるのか。「解決策は晩期マルクスの思想の中にある」と斎藤氏は言う。それはいったいどういうことなのか。政治学者・中島岳志氏との対話でひもといていく。 この記事の写真を見る ■環境危機を引き起こしたのは資本主義 中島:2020年がどんな年だったかを振り返る際に、春からコロナ禍と夏の異常なまでの酷暑、つまり気候変動を抜いて考えることはできませんが、この2つを根源的に考えるにあたって、斎藤さんの新著『人新世の「資本論」』は、絶好の1冊です。コロナ禍についても、気候変動についても、非常に的を射た分析に
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