ケン・リュウという作家はとても面白い。 SF作家として広く知られているが、作品のテーマは幅広い。 宇宙に進出した人類や不死を扱ういかにもSF的な世界観の作品もあれば、中国やアメリカなどの歴史的背景が色濃くある作品や、人種問題がテーマだったり、親と子の物語だったりとさまざま。 それでいてどれもクオリティが高いのだから驚かされる。 【スポンサーリンク】 228 たとえばこんな話がある。 両親に連れられアメリカから台湾に越して来た娘。 異邦の地で少女はうまく溶け込めずにいた。 そんなある時、中国人の老人と知り合う。 老人は少女に文字占いを教える。 漢字という象形文字の成り立ちやそこから導き出される答えは、英語園の少女にとっては魔法のようにも見える。 この辺りは、ファンタジーというかメルヘンすら感じさせる。 ところが老人の背景には、中国の歴史が重く横たわり、やがてそんな大人の事情……世界の現実が襲