古本屋の仕事は、感傷的な仕事である。 もちろん、「本」という、人の心の奥底に届くエモーショナルなものを扱っている点において、新刊書店や図書館でも、感情を動かされる場面に遭遇することは多いだろうと思う。 ただ、古本屋は「買取」という他の職種にない仕事によって、日常的に「死」を意識させられる。 亡くなったご家族の蔵書整理のご相談は毎日のようにあり、いわゆる「終活」でコレクションを整理されたいという方も多い。 一方、2、30年前の本なら「新しめの本」という認識の古書の世界では、買い取ったばかりの本の書き手も、既に故人となっていることがほとんどだ。 今はもういない人たちが、つくり、売り、それを買い、読んできた「本」が、人間の寿命を超えて存在し続け、今ここにあるのだなということが、ふと頭に浮かんで、手元の本をじっと見詰めてしまうことがある。 メメント・モリ 感傷的にならざるを得ない現場も、時には、あ
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