「チョコレートの帝国(ジョエル・G・ブレナー)」(参照)は、米国のチョコ菓子会社ハーシー(Hershey)とマーズ(Mars)の歴史を描いた1999年の作品である。邦題は「チョコレートの帝国」となっているが、オリジナルタイトルは「チョコレートの皇帝たち:ハーシーとマーズの隠された世界の内情(The Emperors of Chocolate: Inside the Secret World of Hershey and Mars)」(参照)として複数形で両雄が暗示されている。 本書は米国のチョコレート産業史と言ってもよいが、チョコレート好きに限らず、おそらく一定の年代上の人にとっては、かけがえのない歴史物語でもあるだろう。1957年に生まれ、1994年から沖縄で8年暮らした私にしてみると、庶民生活の背景に潜む歴史を知ることで感慨深かった。さらに加えるなら、フィッツジェラルド(Francis