いま、世界的に「男性学」が盛り上がっている。しかしどこか違和感を禁じ得ないのは、社会の中で男性性がどのように醸成されていったのかという根本には触れないからだ。社会学の視点から、ジェンダー論や女性学を研究してきた江原由美子に、男性性が生まれた背景を振り返りながら、従来の男性性から脱却するために必要なことを聞いた。 VOGUE(以下、V) 江原先生はこれまで、ジェンダーという概念をさまざまな視点から考察し、それが社会的、文化的に構築されたものであるという前提に立ち、いかに脱構築が可能なのかを議論されてきました。ジェンダーが社会的に構築されているからこそ、男性と女性にはそれぞれに異なる権利や義務が課されているのであり、異なる言説やふるまいを生み出し続ける、そしてその異なる言説やふるまいこそがジェンダー・イメージを強化するような言説を再生産する、という負の循環を指摘されています。 性別役割分業に象