国内の商慣習に深く根付いた印鑑文化。サービスのデジタル化やペーパーレス化を阻む一因となっていたが、ここにきて印鑑レスのサービスが相次ぎ登場している。法律や慣習の違いを越え、どのような工夫で印鑑を不要にしたのか。3回シリーズでそれぞれの工夫や課題を追う。 「口座の住所変更には、届け出印が必要です。いや、運転免許証を見せられましても、手続きはできません」「資料閲覧には、印鑑が必要です。ああ、三文判でいいですよ。どこかで買ってきてください」 日本に住む人であれば、様々な手続きで印鑑を求める慣習に理不尽を感じたことが、一度ならずあっただろう。偽造、改ざんが容易で、認証手段として欠点が多いにも関わらず、印鑑を必須とする手続きはなぜ多く残っているのか。第3回は、今も残る「印鑑必須」「ほぼ印鑑必須」の制度と、印鑑以外の手段を使えるようにするための道筋について考える。 銀行の印鑑レス化は時間の問題 第1回