産業技術総合研究所の研究チームは、イオン液体と似た「共融系液体」と呼ばれる物質を利用して、従来のリチウムイオン蓄電池とは異なる方式で動作する蓄電池を試作した。有機電解質を使わない方式を目指す。 産業技術総合研究所は、2016年6月20日、安価でレアメタルを用いないリチウム蓄電池セルを開発したと発表した*1)。 開発品の特徴は、「共融系液体」と名付けた混合物を正極側に用いたこと。世界初の利用だという。これが2つの利点に結び付く。第1に、コバルトやニッケル、マンガンといったレアメタルを正極活物質として利用しなくても蓄電池として機能する。より安価な蓄電池の実現に向く。 第2に、一般的なリチウムイオン蓄電池とは異なり、固体の正極活物質にリチウムイオンが潜り込む反応(インターカレーション)が起きないため、結晶構造上の劣化が生じない。より寿命が長い蓄電池に向いた性質だ。 *1) 産業技術総合研究所省エ