関川夏央の本から備忘録として引用 日露戦争をえがいているはずのこの物語の主人公のひとりが正岡子規であることを不思議に思う方も多いようです。日露戦争が主役であるならば、本来は夏目漱石が出てきたほうがいい。 漱石は戦前の最も重要な時期にロンドンにいました。渡英するとすぐにビクトリア女王の死に接し、少しのちボーア戦争出征軍人の、まるで敗者のごとき凱旋を目撃しています。そして日英同盟の締結に遭遇し、英国社会の考え方や、西欧の空気に圧倒されながらも、これを批評的に眺め、帰国して日露戦争に出会います。 司馬遼太郎が夏目漱石を晩年まで愛読していたことは、よく知られていたらしい。 ただ書き始める切っ掛けとして、正岡子規を調べていたら、その幼馴染みとして秋山兄弟を知ることとになったことがひとつにあり、また陰性の夏目漱石よりも、陽性の正岡子規の方が、司馬遼太郎が書きたかった明治の時代精神に合っていたなどの理由
![関川夏央:『坂の上の雲』の主人公がどうして正岡子規だったのか? ロスジェネとしての「坊ちゃん」 - さて次の企画は](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/187f8b866b7f1488b514dc5b0507de2d409505c6/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fecx.images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F41BITiQYOFL.jpg)