“馬のお坊さん”を自称する人物がいる。埼玉県さいたま市見沼区にある常泉寺の僧侶、国分二朗さんだ。19日に52歳を迎えた年齢だが、仏門に入ってからは日が浅い。それまでは、競走馬の育成に携わっていたという異色の経歴の持ち主だ。 生まれは埼玉県。競馬とも寺院とも縁のない家庭に育った。進学していた大東大ではアメリカンフットボールにのめり込む日々。その結果、進級が怪しくなった。父には卒業できないなら退学を、と勧められた矢先に、日本軽種馬協会が立ち上げた生産育成技術者研修の存在を知る。たった1通、何の面識もない調教師に手紙を書いたところ、親切に返信があって進むべき道が定まったのだ。 「これで親から離れられるな…というくらいの気持ちでした。競馬ではなくて、馬が好きだったんです。馬の写真集を見ていたくらいでしたので」 サラブレッドと何の接点もないまま、いきなり競走馬の世界に身を投じた。周りにいたのは牧場経