ニーズがないと思っているが、記憶術(Imagery Mnemonic)について、やや詳しい目に何回か書くことにした。 今回は総論。 今後取り上げるシステムを表にまとめて、うしろに長所、短所をあげた。 Phoneticシステムまでやれば、本を丸ごと覚えるくらいは、なんとかなるだろう。 書物の入手が、奇跡とまではいかなくても、容易ならざることだった時代には、記憶術はリテラシー、つまり「読み書きができること」の一部だった。 各地で修道院という組織がつくられ、それらを拠点に写本をつくる体制が整い、以前に比べればはるかに書物が手に入りやすくなっても、記憶術はリテラシーの一部でありつづけた。 他人の《著作》を自分のアタマに入れるのは当然のことで、それらを参照する際にも、自分のアタマの中にある書物から語句を引いてくるのは普通のことだった。彼らはまたアタマの中で《著作》を完成させることができた。 こうした