統一理論の足がかりとして期待が高いが,LHCではまだその片鱗も見つかっていない 物理学者は数十年前から「超対称性」について熟慮を重ねてきた。素粒子にもう1つの“影の世界”が存在するという考え方で,宇宙の暗黒物質(ダークマター)の正体など,素粒子物理学の「標準モデル」では説明できない謎を見事に解き明かしてくれるはずだ。 ところが最近,一部の物理学者は超対称性を疑い始めた。史上最強の加速器である大型ハドロン衝突型加速器LHCによる実験で,未知の実在を示すような新現象がこれまで何も見つかっていないからだ。新現象の探索が始まったばかりだとはいえ,超対称性が存在しない場合の物理学を検討せざるをえなくなっている。 兆候なし 「どこを見ても,何も見つからない。標準モデルから乖離した現象が何も見つからないのだ」。そう話すのは,イタリアのパヴィアにある国立核物理学研究所のポールセロー(Giacomo Pol
![超対称性は死んだのか?〜日経サイエンス2012年7月号より](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/b283e22ecd1caf616c45799c6296e0c2020625e7/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.nikkei-science.com%2Fwp-content%2Fthemes%2Fnikkeiscience%2Fimages%2Fog.png)