三つ子の魂百までとは言うが、聖人のような人物の導きがあれば、手を汚しても、あのジャン・バルジャンのように心底更生することができるのだろうか。しかし、14億円もの巨費を横領してチリ人妻に貢いでいたあの男は、救いの手も振り切って逃亡していた。 【画像】いまの千田郁司氏 *** ジャン・バルジャンとはご存じ、ヴィクトル・ユーゴーの小説『レ・ミゼラブル』の主人公である。飢えに苦しむ甥っ子たちを救おうとパンを盗んで19年も投獄され、社会への深い憎しみを抱いて出所するが、ミリエル司教の慈愛に触れ、それからはわが身を犠牲にして人々に尽くした――という説明で、思い出していただけただろうか。 実は東京の新宿に、現代のミリエル司教と目されている男性がいる。公益社団法人「日本駆け込み寺」の玄秀盛代表(63)だ。元受刑者たちに仕事を斡旋して社会復帰を後押ししており、活動の拠りどころは、「人を信じること」だという。