即時抗告からやはり10年も待たせておきながら、 「確定判決の証拠は相当に強固で、事実認定に疑問は生じない」 と棄却を決めた安廣文夫東京高裁判事。彼は、袴田弁護団から「裁判記録や証拠を見ずに棄却決定をした」として懲戒申し立て請求をされながらも、定年まで勤め上げて中央大学法科大学院教授に就任した。この安廣氏が、村木厚子現厚生労働事務次官を冤罪に陥れた郵便不正事件の検証アドバイザーに選ばれているのは、皮肉と言うほかない。 「5点の衣類は長期間、味噌の中に漬け込まれたことは明らか」「共布の発見に証拠の捏造をうかがわせる事情は見当たらない」 と袴田さんの足かけ27年におよぶ再審請求を棄却した最高裁の判事にしても、今井功裁判長と中川了滋裁判官がともに旭日大綬章を受章している。 だが、司法は遅ればせながら自らの過ちに気付く。 2人の元最高裁判事が叙勲を受けた'11年の夏、静岡地裁は「5点の衣類」のDNA