「令和」を初めて聞いたとき、私は“いいな”と感じた。「平成」のときはなにかピンとこなくて、“自分は「昭和」の人間だから”という意識が強かった。それは今も変わらない。“好き嫌い”は人それぞれであるが。 昭和の戦後に誕生した(初の名人として)将棋史に名を残す塚田正夫さんは、無口で“えらぶらない人”だったらしい。<勝つことはえらいことだ>。ファンから一筆せがまれるときの一文は拍子抜けするくらいに気取りがなかった。 私は、ひょうひょうとした人物が好きだ。塚田さんは一つの白星をあげるために、いかなる苦労をしてきたことだろうか。その一文はなによりも“自分へのほうびの言葉”であった。 平成に生まれた最年長者は今年で30歳という計算だろうか。元号が変わることより早く、この4月に社会人デビューした若者たちのほとんどは、平成生まれのようだ。 固定電話で見ず知らずの相手と話した経験のないスマホ世代は、電話応対の