ニセ歴史観「江戸しぐさ」 江戸しぐさ。雨の日にすれ違う際には傘を傾ける「傘かしげ」、ベンチなどで後から来た人のために少し腰を浮かせて詰める「こぶし腰浮かせ」、訪問する際には必ずアポイントメントをとるよう注意する「時泥棒」など、江戸時代の人々が守っていたとされるしぐさの総称であり、なおかつ現代では失われていると主張される行動様式のことである。但し、これらのしぐさが江戸時代に普及していたとするのは誤りだ。これらはいずれも、現代的な道徳観から逆算して捏造された「ニセ歴史観」なのである。 例えば「時泥棒」。アポを取り、時間を正確に守るという習慣は、現代のように時間を計る手段を誰もが持ち、メールや電話などの連絡手段を持たないと成り立たない。しかし、「時間は大事だよね」という道徳観と、「昔は今よりもよかったに違いない(現代は昔と比べて何かしら劣化したに違いない)」という思い込みとが重なって、こうした眉