飛鳥時代の渡来系氏族・東漢(やまとのあや)氏の氏寺とされる奈良県明日香村の檜隈寺跡で、7世紀後半〜8世紀頃の金属生産工房の炉跡とみられる遺構や鉄くずなどが、村教委の調査で出土した。寺の造営時期と一致し、村教委は「クギや寺の調度品などを作っていた可能性がある」としている。 国営公園の整備事業に伴い、寺の講堂跡から北へ約140メートル離れた約350平方メートルを2008年に発掘調査した。炉とみられる跡は、縦0・9メートル、横1・1メートルで、厚さ1〜2センチの粘土を張り付けた炉壁や大量の炭が残っていた。鉄くずや鉄片、炉の送風管の破片なども近くで見つかった。村内の川原寺跡や橘寺の周囲でも工房跡が出土しているが、檜隈寺跡では初めて。 遺構の写真パネルや鉄くずなどの遺物は、22日から2月28日まで同村の奈良文化財研究所飛鳥資料館で開かれる冬期企画展「飛鳥の考古学2009」で展示。高松塚古墳の墓道東壁