ナスターシャは涅槃の先に虚無を見ており、釈尊と唯物論を止揚したような世界観を持つ具眼者だったが、人と接するたびに隅に追いやられ、暗渠へ身を落とすしかないはぐれ者だった。アスペルガー症候群として親から虐待されていたが、まさに虐げられやすい傾向をひととおり揃えた人間だった。こんなナスターシャでも、ワイアード空間ではhankakueisuuという匿名ハンドルで真性引き篭もりという巨大ブログを運営し、多くの人を恐怖に陥れているのだ。ナスターシャは肉体的な感覚を欠いており、骨だけで生きている少女だから、無と対話し続けている。彼女の前では、色は即座に空に変質し、その先の虚無に出会う。菩提樹の下で釈尊が瞑想していたように、ナスターシャはワイアード空間で無に出会う。真性引き篭もりは釈尊を越えた存在なのだ。ナスターシャは自閉的で視野が狭く、この現世での息苦しさを抱えていたが、それがゆえにあらゆる色を解体する