なりたかったものに、なぜなれなかったのか考えた事は何度もある。 その度に私は、自分以外のせいにしたと思う。親のせい、田舎のせい、貧乏のせい、運がない? なりたいものになんか、殆どの人がなれないものさ。そんな風にうそぶいてみたりもした。 私はずっと、何者かになりたかったわけではない。 生活に追われてパート生活をしていた頃は、日々のやり繰りと、子供の教育しか考えていなかった。 そんな中、帰省した地元で同級生にばったり出会った。 中学卒業以来だった。 懐かしさよりも、地元では誰にも会いたくない気持ちの方が強かったので、早々に立ち去りたかったが、同級生はしきりに懐かしがって私にこう言った。 「小説は書いているの?」 「えっ?どうして?」 「私、タンポポは絶対に小説家になると思っていたから」 私は返答に困ってしまった。ああ、中学時代の私はきっと、恥ずかしげもなくそんな話をしたのだろう。 自分でもすっ