監督:黒沢清 『CURE』のレビューを読んでいると、映画の雰囲気が前半部と後半部で違う、という印象を持った人が少なからずいることがわかる。 実際『CURE』の後半部は、前半部に比べ短いショットが多くなり、ショットや場面のつながりが分かり辛くなり、ロケーションがますますおかしくなっていく。のだけれど、この変化はどこからともいえず少しずつ起っているのだろうか。それとも、どこかからはじまっているのだろうか。だとしたら、どこからはじまるのだろうか。 結論は出ているので、先に書いておく。 『CURE』は、あるショットを契機に変る。正確には、そのショットが捉えたモノが変化の起因となる。そのモノとは、四肢をつながれた猿のミイラである。 なぜ、四肢をつながれた猿のミイラが変化の起因となるのか。その理由をいくつか説明していこう。 シルバースプリング事件を知っているだろうか。 この事件は、1981年にアメリカ