例えば、知り合いから相談を受けるとき。悩みを聞かされるとき。この人はなぜ他人に対してここまで自己を開陳できるのだろうと疑問に思う。 話を聞かせた相手が本当に親身になってくれると思っているのか。今話している相手が他言無用の内容をべらべらと吹聴したり、ネットで放言しないと確信できているのか。それとも、最初から開陳している自己などなくすべてペルソナなのか。 私は、誰かを信用できたことなど一度もない。信用して裏切られるのが怖いのか?そんなことはない。そもそもに信用したことがないのだから他人に裏切られたと感じることもない。美容室でハサミを持った美容師が殺意を持っていれば私は死ぬだろうし、かかりつけの医者が嘘を言って薬を飲ませてもあっけなく死ぬだろう。そんな唐突な裏切りなんて馬鹿なことを考えるわけじゃない。私はただシンプルに、他人の自身の内面を知られることが嫌なのだ。 親兄弟や親戚。大切な恋人。旧来か