要旨 新NISAや株価上昇を背景に、家計の資産形成において投資への関心が高まっている。もっとも、総務省「家計調査報告」をみると、家計の手元資金が預貯金から有価証券へ大きく移っているわけではない。そこで本稿では、勤労者世帯を対象に、家計調査の家計収支編でみた金融資産純増(フロー)と、貯蓄・負債編でみた貯蓄現在高(ストック)を確認し、手元資金がどの金融資産に向かい、残高がどのように変化しているのかなどを考察する。 家計収支編で金融資産純増の内訳をみると、2025年の預貯金純増は年212.5万円と、金融資産純増の9割超を占めた。一方、有価証券純購入は年6.1万円にとどまり、毎年の資金フローではなお預貯金が主な受け皿となっている。預貯金純増の増加は、黒字の拡大を主な背景としつつ、生活防衛資金への需要やキャッシュレス化による預金口座の決済ハブ化など、複数の要因が重なっている可能性がある。ただし、有価

