僕は三回か四回そんな風に女の子と寝たあとで、永沢さんに質問してみた。こんなことを七十回もつづけていて空しくならないのか、と。 「お前がこういうのを空しいと感じるなら、それはお前がまともな人間である証拠だし、それは喜ばしことだ」と彼は言った。「知らない女と寝てまわって得るものなんて何もない。疲れて、自分が嫌になるだけだ。そりゃ俺だって同じだよ」 「じゃあどうしてあんなに一生懸命やるんですか?」 「それを説明するのはむずかしいな。ほら、ドストエフスキーが賭博について書いたものがあったろ? あれと同じだよ。つまりさ、可能性がまわりに充ちているときに、それをやりすごして通りすぎるというのは大変にむずかしいことなんだ。それ、わかるか?」 「なんとなく」と僕は言った。 (村上春樹 著『ノルウェイの森(上)』講談社文庫、1991) こんばんは。昨日、神保町のブックフェスティバルに行ってきました。すずらん

