著作物を一定条件下で許諾を得ずに利用できる「フェアユース」は大きな経済的効果を生み出しており、2007年に米国だけで4兆7000億ドルの売り上げをもたらした。IT業界団体が4月27日、このような調査報告書を発表した。 この調査は国際的な非営利団体Computer & Communications Industry Association(CCIA)が政府やWIPO(世界知的所有権機関)のデータを基に行ったもの。MP3プレーヤーなど個人が著作物を複製できる家電製品のメーカー、教育機関、ソフトデベロッパー、Web検索エンジン、Webホスティング企業をなどをフェアユースの恩恵を受ける産業とし、その経済規模を算出している。 調査によると、米国の「フェアユース経済」は2002年の3兆4000億ドル規模から、2007年には4兆7000億ドルへと36%成長した。米国のGDP(国内総生産)の6分の1を占め
文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会は2010年3月30日に第3回会合を開催した。法制問題小委員会は、著作物を許諾なく利用できる「権利制限の一般規定」(日本版フェアユース規定)について具体的な検討を進めている。今回の会合では、中間取りまとめの素案の書き振りについて、委員が意見を述べた。文化庁の小委員会は、次回の会合(2010年4月中旬頃に開催予定)で中間取りまとめ案を固めることを目指す。日本版フェアユースが法制化された場合、現行の著作権法では合法であると明確になっていない著作物の利用について、一定の範囲内であれば合法であることが明確になる。 今回の素案では、著作物の利用行為を五つに分類し、日本版フェアユース規定の対象とすべきかを決める際に考慮すべき要素についての考え方が整理された。「利用の質と量が軽微であり、実質的違法性を備えないと評価できる利用」(いわゆる形式的権利侵害行為)に
前編に引き続き、角川グループホールディングスの代表取締役会長兼CEO、角川歴彦氏のインタビューをお届けする。 新しい時代に合わせた法律にしたほうがいい ── 日本の著作権法で言うと、昨年、著作権法が改正されて、今年から検索エンジンが合法化されました。この本にも書かれていますが、法律の壁が業者に萎縮効果を生んでるんじゃないかという話もあります。 一方で「日本にフェアユースがなくても、グレーゾーンで勝手にやってる業者はたくさん存在する。単に技術不足やビジネスモデルの問題。萎縮効果なんて生んでない」という意見も根強く残っています。例えば、著作権法の壁があったために萎縮を招いた具体的な事例とは何でしょうか? 角川 ある出版社が、写真サービスを始めたいと思って、カメラマンに撮ってもらった雑誌の写真をアーカイブにしたわけだよ。でも今の法律は、いくら出版社が旅費を渡して撮ってもらったとしても、著作権はカ
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文化庁の著作権分科会の法制問題小委員会の2009年度第7回目の会合が1月20日、開催された。 いわゆる“日本版フェアユース”と称される、著作権の権利制限の一般規定の導入についておもに議論を続けている本小委。2009年9月18日に開かれた前回の会合では、同制度の導入をめぐる検討事項が多岐にわたることから、新たに専門のワーキングチーム(WT)「権利制限の一般規定ワーキングチーム」を発足させ、集中的に審議を進めることが決められていた。今回の会合では、以降8回の会合を経た同WTがまとめた報告書を提出し、その内容を説明した。 今回公表された報告書では、一般規定の導入に対する是非について、「小委員会における関係者のヒアリング結果を分析したところ、利用者側と権利者側とで意見の隔たりが大きい」と指摘。さらに、「立法的対応が必要であると判断するためには、導入を根拠付ける立法事実があるのかという点につき十分検
日本新聞協会や日本雑誌協会など6団体は1月20日、著作権法上の権利制限規定、いわゆる「日本版フェアユース」導入に反対する意見書(PDF)を、文化庁の審議会の委員あてに提出した。 フェアユース導入に伴い、私的複製を超えた範囲で新聞や出版物を掲載したWebページの無断印刷が可能になれば、新聞社や出版社は甚大な被害を被り、ネット上の良質なコンテンツの危機につながるとしている。 意見書は、両協会と、日本文芸家協会、日本書籍出版協会、学術著作権協会、日本写真著作権協会の連名。文化庁でフェアユース問題を議論している文化審議会法制問題小委員会の委員にあてている。 意見書では、「何がフェアかの線引きがあいまいなままフェアユース導入されれば、本来はフェアではない複製が広まり、いたずらに権利者と利用者間の争いを増大させる」と指摘する。 小委員会でのフェアユースの議論は「特定のビジネスに便宜を図ることが目的にな
日本版フェアユースを導入すべきか、導入するならどんなケースを対象とすべきか――文化庁傘下の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会に1月20日、ワーキングチームによる報告書が提出された。報告書をベースに今後、小委員会で導入の是非やカバー範囲などを議論。3月末までに一定の結論を得る方針だ。 報告書は、著作権法上の権利制限の一般規定、いわゆる「日本版フェアユース」についての論点をまとめたもので、法制問題小委員会傘下のワーキングチームが計8回の会合を開き、議論してきた内容が53ページにわたって書かれている。 日本版フェアユースの必要性については「利用者側と権利者側で意見の隔たりが大きい」とし、結論は出していない。仮にフェアユースを導入した場合に権利制限の対象となる行為についてもかなり限定的にとらえており、パロディや録画転送サービスは対象外としている。 日本版フェアユース、カバー範囲は限定的 仮にフ
インターネット上のコンテンツの「ダウンロード違法化」を含む改正著作権法が施行された。これにより、著作権者の許可なくネット上にアップロードされた音楽や映像をユーザーが自分のパソコンなどにダウンロードすることは、「私的使用」であっても禁止。罰則がなく、違法性を認知していなければ適用されないことから、効力には疑問の声もあるが、文化庁は「自粛効果はある」としている。これを機に、「後手後手」と批判されてきたネット上の著作権対策をめぐる動きが活発化しそうだ。(池田証志、猪谷千香)ビジネスを阻害 ネット上のコンテンツの著作権侵害に対してはこれまで、主にアップロード面での規制に力点が置かれ、ダウンロードは私的使用目的であれば違法ではなかった。しかし、ネット社会の進展とともにユーザーによる違法な流通が増え続け、「正規のコンテンツビジネスの育成を妨げる規模に増大している」(文化庁著作権課)。 社団法人「日本レ
米国の著作権法にあるフェアユースの規定を、日本の著作権法にも導入しようという議論が、文化庁傘下の審議会で進められている。 「フェアユースは早急に導入すべき」「いや、導入してはいけない」――慶応義塾大学SFC研究所プラットフォームデザインラボが9月17日に有識者を招いて行ったパネルディスカッションで議論が行われた。推進派と反対派の意見は割れたが、「フェアユースへの一般的な期待は過剰」という点では全員の意見が一致した。 パネリストは、推進派が弁護士の福井健策さんと、ジャーナリストの津田大介さん、反対派がマイクロソフト社内弁護士の経験もある水越尚子さんと、Motion Picture Association(映画協会)アジア太平洋地域プレジデントのマイケル・エリスさん。慶応大大学院政策・メディア研究科の金正勲さんがモデレーターを務めた。 フェアユースの誤解 政府の「知財戦略 2009」によると、
文化庁の著作権分科会の法制問題小委員会の2009年度第4回目の会合が8月25日、開催された。 日本の著作権制度に関わる法的問題を議論することを目的に設置された同委員会。2009年度は、“日本版フェアユース”と呼ばれる著作権法における一般規定について4月から議論が続けられている。4回目の開催となった今回の会合では、前回に引き続き、同制度に関わりのある利害関係者を招いたヒアリングが行われた。 今回のヒアリングでも、フェアユース規定導入の是非をめぐって、関係者による綱引き状態が続いた。フェアユースは、現行の著作権制度では対応しきれない著作物の二次利用に対する権利制限について、公正性が認められる利用については個別の許諾なしに認めることができる一般包括的な指針を米国の著作権制度に倣って導入しようというものだが、著作物の二次的利用を促進したい産業界と、権利者権限を不当に狭められたくない権利者双方の思惑
「フェアユース」という言葉を聞いて、たいていの人は何のことだかピンと来ないはず。 だが、ネット関連の企業に関係している人なら、その語が何であるかぐらいは最低限覚えておきたい。というのも2009年度、日本の著作権界隈で話題になりそうな重要ワードだからだ。 フェアユースは、ごく簡単に言うと「著作物を公正に利用するなら、著作権の侵害にはあたらない」という法律の原理で、現状、アメリカなどが導入している(関連記事)。 何かの著作物を使う場合、その著作権者に「使っていいですか?」と話を通して、許諾を得てから使用するのが基本だ。さらに場合によっては著作物の使用料を払う。一方、フェアユースがあれば、「公正」な目的で使うときに限って、特に事前に許可を取らなくても著作物を使っていいようになる。 フェアユースの条項は日本の著作権法にないが、インターネットの発達など状況が変わってきたこともあって、ここ数年で導入し
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