異種移植――医療は種の境界を超えられるか 作者:山内一也みすず書房Amazon現代は臓器が損傷を受けたり病気で蝕まれた時、臓器移植という手段をとることができる。とはいえ、問題は多い。拒絶反応が起きないように考慮する必要があるし、そもそも臓器が欲しい人に行き渡るのに十分なほどの臓器が存在しない。日本では心臓は約3年、肝臓は約3年、肺は2年半、腎臓に至っては15年もの平均待機期間がある。 そうした問題点を(部分的にしろ)解決する方策の一つとして見られているのが、異種移植だ。ヒヒやブタなど、ヒト以外の動物の体(異種)、その臓器を用いて、人間に臓器を移植する技術であり、これができれば臓器移植用のブタを特別に育てるなどして、臓器移植を必要とする患者のために、安定的に臓器を提供できる体制を整えることもできる。もちろん、これは一般的とはいいがたい技術であり、そうした単純なアイデアを実行するためには倫理的
![異種移植の歴史と未来を語る本──『異種移植――医療は種の境界を超えられるか』 - 基本読書](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/98e6df9ab04675efcc77644d5a02657f21bcb65a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F31KlyVY%2BHbL._SL500_.jpg)