ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (32)

  • 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書

    「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazonこのブログ「基読書」を書いている冬木糸一です。3月1日に、『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』というをダイヤモンド社から刊行することになったので、その告知文を下記につらつらと書いていきます。このブログの読者にはまず楽しんでもらえる内容なので、ぜひ告知分だけでも読んでいってください。 の外観。440ページ超えなのでけっこう分厚い SF超入門とは何なのか 「SF超入門」と銘打っているわけなので、当然SFに入門するためのになる。歴史や作家など入門といっても無数の入り口があるわけだけれども、今回はいわゆるSF小説のガイド的な内容になっている。ただ、「SF初心者はこれを読め!」といって初心者向けを語る、ガイド記事を拡張した内容とは異なるアプローチでを選んでいる。 たとえば

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  • 異種移植の歴史と未来を語る本──『異種移植――医療は種の境界を超えられるか』 - 基本読書

    異種移植――医療は種の境界を超えられるか 作者:山内一也みすず書房Amazon現代は臓器が損傷を受けたり病気で蝕まれた時、臓器移植という手段をとることができる。とはいえ、問題は多い。拒絶反応が起きないように考慮する必要があるし、そもそも臓器が欲しい人に行き渡るのに十分なほどの臓器が存在しない。日では心臓は約3年、肝臓は約3年、肺は2年半、腎臓に至っては15年もの平均待機期間がある。 そうした問題点を(部分的にしろ)解決する方策の一つとして見られているのが、異種移植だ。ヒヒやブタなど、ヒト以外の動物の体(異種)、その臓器を用いて、人間に臓器を移植する技術であり、これができれば臓器移植用のブタを特別に育てるなどして、臓器移植を必要とする患者のために、安定的に臓器を提供できる体制を整えることもできる。もちろん、これは一般的とはいいがたい技術であり、そうした単純なアイデアを実行するためには倫理的

    異種移植の歴史と未来を語る本──『異種移植――医療は種の境界を超えられるか』 - 基本読書
  • 書評・感想記事の書き方について - 基本読書

    なんとなく、一度僕の書評・感想記事の書き方についてまとめておこうかと思った。先日下記のようなブログに関する記事を寄稿したところ、幾人かがこれに触発されてブログを書いてくれたようで、個人的に嬉しかったから、というのが大きい。 blog.hatenablog.com 書評(でも感想でもなんでもいいんだが)の書き方の正解を教えるとかそういうわけではなく、単純に僕がどうやって記事を書いているのか、書くときに何を考えているのか、ということの簡単なまとめである。人によって感想ブログといっても書き方は全然違うはずで、書き方の違いを見比べてみるのもおもしろいんじゃないか。 手順 当たり前だが一度通読する。その時点でブログに書くかどうかを検討して(書かないことも多い。あまりおもしろくないな、と思ったり、おもしろいと思ってもタイミングを逃すこともあるし、書きづらくてスルーしてしまうこともある)、載せる、となっ

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  • 人類、生き延びすぎにもほどがある──『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART1』 - 基本読書

    天冥の標? 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/12/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るまさかまさか当に天冥の標が完結する時がきてしまうとは……。この世は何があるのかわからないから突然小川一水が死ぬ可能性もあるがそれはそれとして二巻までの原稿はあるし三巻の原稿もほぼあるはずだからもう完結は期待していいだろう。天冥の第一巻を読んだ時から、小川一水が凄まじい結末を見せてくれるであろうことを微塵も疑ったことはなかったが、このXのPART1の出来はそれをはるかに上回る〝何か〟がこの先に待ち受けているのではないかと、そう実感させてくれる出来だ。 ちなみにこの記事では未読者向けの紹介など全然なく、完全にPART1の内容はネタバレしていくのでそんなかんじで……。9巻まで読んで僕の頭を支配していたのは「

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  • 2016年のベストSF──『SFが読みたい! 2017年版』 - 基本読書

    SFが読みたい! 2017年版 作者: S‐Fマガジン編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/02/09メディア: ムックこの商品を含むブログ (6件) を見る2016年のベストSFランキングであるSFが読みたい2017年版が出た。海外篇も日篇の結果も傾向がみてとれておもしろい結果なんじゃないかな。たとえば日篇でいうと、なんとトップ10の中に早川書房の物が一冊も入っていない。これは大森さんいわく1998年以来の出来事だというけれども、状況は大きく違いますね。 日篇の結果について これは僕も出ている2010年代前期総括座談会の大森さんの発言の引用になるけれど、『九八年の「ベストSF」国内篇は、早川書房のどころか、SFと謳って出たが一冊もなかったけど、一六年は、『夢見る葦笛』『スペース金融道』『カメリ』みたいなど真ん中のSFが出てるし、《創元SF叢書》みたいな専門

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    cocodemi 2017/02/18
  • 世代別SF作家ガイドが嬉しい、ベストSF2015──『SFが読みたい! 2016年版』 - 基本読書

    SFが読みたい! 2016年版 作者: S‐Fマガジン編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2016/02/10メディア: 単行この商品を含むブログ (4件) を見る毎年恒例のSFが読みたい! の2016年版が出ました。 僕はSFマガジンで海外SFのブックガイドを担当していることからこの読みたい! では海外SFベスト20の解説と総括、それからランク外の注目作品について書いています。どれもおもしろさの方向性が違うので「これだけは読んどけ」というのはないのだけど(あるけど)、僕の簡単な解説もけっこう分量が(1万文字ぐらい)あるので、何か適当に読むを選ぼうかなと思う人は読んでみてね。 さて、では内容の話にうつりたいところなんだけれども、ランキングを1から10までここでバラしてしまうのもおもしろくないので、未読の人でそのへん気になる人は屋でぱら見したり買ったり、あるいはネットで検索して

    世代別SF作家ガイドが嬉しい、ベストSF2015──『SFが読みたい! 2016年版』 - 基本読書
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    cocodemi 2016/02/14
    国内1位、さわりだけ読んだけどすごく面白そうだったわ。
  • なぜ宇宙は弱肉強食なのか──『天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと』 - 基本読書

    天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫) 作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/12/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (10件) を見る※基は読み終えた人用。読み終えていないヒトは下記を読むように。 huyukiitoichi.hatenadiary.jp 全10部を予定しているシリーズもいよいよ第9部まで至り、宇宙へと散らばった人類、人類外の生物、人類が生み出した知性を持つ生命らが入り乱れ複雑化してきた。生命としての知性としての基礎が異なれば、その生存戦略も動機も大きく異なる。 それらがいかにして育まれ、各勢力の基礎として成長してきたのかを数百数千年に渡って書き継いできたのがこの天冥の標シリーズだったと、一面的には総括してしまってもいいだろう(あまりにも太くしっかりとした複数の軸があり、全てを総括することなど完結して

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    cocodemi 2016/01/23
  • 『エルフの血脈』と『ウィッチャー3 ワイルドハント』 - 基本読書

    ウィッチャー3 ワイルドハント 出版社/メーカー: スパイク・チュンソフト発売日: 2015/05/21メディア: Video Gameこの商品を含むブログ (21件) を見るhuyukiitoichi.hatenadiary.jp ↑の記事で僕が今年PS4を買ってからやった大作ゲームの数々について軽く触れたが、『ウィッチャー3 ワイルドハント』はその中でも「もっとも、世界の命運を自分が左右しているんだ」と実感させられたゲームであった。 ウィッチャーシリーズはエルフやドワーフが存在する架空の世界を舞台にしたファンタジック超大作ゲームだ。プレイヤーは身体を変異させ特殊な霊薬を扱えるようになった魔法剣士(ルビ:ウィッチャー)ゲラルトとなって世界を旅して周り、困っている人を助けたり、人間に危害を加える人狼などのクリーチャーが出たら退治に向かう。国家同士の闘いには基的に参加せず、その政治的姿勢は

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    cocodemi 2015/12/30
    これ気になるんだけど(続編)どうなのかなあ。
  • 自由であること、自分で決めること──『世界の誕生日』 - 基本読書

    世界の誕生日 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-11) (ハヤカワ文庫SF) 作者: アーシュラ・K・ル・グィン,丹地陽子,小尾芙佐出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/11/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る超高度文明が居住可能惑星に人間型生命の種を撒いた宇宙を描くハイニッシュ・ユニヴァース物を中心として集めた全8篇の短篇集になる。中心として集めた、といってもこの世界を歴史的な視点から描いていく連作短篇群というわけでもなく、基的にはそれぞれ独立した短篇として特殊な社会状況とそこに現れる我々は大きく異なる常識や価値観が表出されていくのが、まあ、なんといってもル・グインだよねって感じだ。そういうわけでとても純度の高いル・グイン傑作短篇集に仕上がっている。 2篇はその世界から外れた独立の世界を描いているが、特に注目作としては書き下ろされている「失われた楽園」があ

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    cocodemi 2015/12/19
  • THE GHOST IN MY BRAIN──『脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-』 - 基本読書

    脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記- 作者: クラーク・エリオット,高橋洋出版社/メーカー: 青土社発売日: 2015/09/25メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る書名にあるように、元々IQの高い人工知能研究者であるクラーク・エリオットが交通事故によって脳震盪を起こし脳機能にダメージを受け、「自分が人間だとは信じられない」状態にまで陥ったのち、そこから回復していく過程を辿った一冊である。 書の半分近くは、その脳震盪が起こってからの生活がどのようなもので、彼がそれにどのように対処してきたのかが語られるが、これが「脳震盪つっても、プロスポーツ選手がよくぶつかったりしてなるあれでしょ?」というレベルとは想像もつかないツラさだ。ドアを通り抜ける、階段を降りる、そんな簡単なことが難しくなる。時間感覚がなくなり、自分が人間ではないという奇妙な感覚にとらわれ、マルチタ

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    cocodemi 2015/11/10
  • 「懐かしむ」のではなく「その先」をしめすために──『伊藤計劃トリビュート』 - 基本読書

    伊藤計劃トリビュート (ハヤカワ文庫JA) 作者: 王城夕紀,柴田勝家,仁木稔,長谷敏司,伴名練,藤井太洋,伏見完,吉上亮,早川書房編集部出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/08/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る書『伊藤計劃トリビュート』を読んでいて実感したのはいまの日SFシーンは6年前よりも面白い、ということだった。それは6年前がつまらなかったとかいうネガティブな話ではなく、シーンを担うべき新鋭が次々と現れ、よりその分量と幅をまし、日SFがその多様な窓口と質的な深さを獲得した結果であろうと思う。そうした日SFの現状を押し詰めたように、「いま」の面白さだけではなく、「未来」に向かって面白さが増していくに違いないと確信させる「期待」まで書には詰め込まれている。 それは書執筆陣と中編の並び順を見てみるとよくわかる。藤井太洋、伏見完、柴田勝家、吉

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    cocodemi 2015/10/03
  • 『大泉エッセイ 僕が綴った16年』と水曜どうでしょうの面白さの本質について - 基本読書

    大泉エッセイ 僕が綴った16年 (角川文庫) 作者: 大泉洋出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー発売日: 2015/04/25メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る2015年も後半戦になってお前は何を言っているんだと思われるかもしれないが最近水曜どうでしょうを延々と観ている。これまでの人生で笑った総量と同じぐらいの笑いを既に水曜どうでしょうから引き出されているんじゃないかというぐらい笑って、この番組に出ているメインメンバー四人のことが愛おしくてたまらない。言わずと知れた大泉洋に、最近は映画監督やドラマ監督としての活躍も著しい鈴井貴之、チーフディレクターの藤村Dにディレクター兼カメラマンの嬉野Dが繰り広げる旅バラエティ番組。四人それぞれまったくキャラが違い(一人はカメラマンでほとんど喋らないが)それぞれに味がある。奇跡的な配役だ。 そろそろ見れる分につい

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    cocodemi 2015/08/18
    私にとっては若い頃の一コマのようなテレビ番組がこんなに詳細な言葉で語られているのがなんだか面白い
  • クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF) by ウィリアム・ギブスン - 基本読書

    クローム襲撃 (ハヤカワ文庫SF) 作者: ウィリアム・ギブスン,浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1987/05メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 94回この商品を含むブログ (58件) を見るSFは今やあらゆるジャンルに拡散し、むしろ今となっては現実そのものがSF化している──というのは僕の個人的な考えだけでもなく多くの人の実感となってもいると思う。今回復刊に合わせてこのクローム襲撃(ウィリアム・ギブスンの初短篇集)を改めて読んでみたが、まあ、濃い。ゴリゴリとした文体で人を拒絶するかのような無愛想な世界観。SFといえばいま・ここから地続きの場所にある「繋がり」を感じさせるものが多いが、「どこか別の世界」をファンタジーとはまったく別個の文脈で造り上げているような絶対的な存在感がある。たくさんの要素が後年フォロワーによって採用され、アップデートがかけられていったけれども、

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    cocodemi 2015/05/02
  • SFマガジン 2015年 04 月号から連載開始しましたとかいろいろ - 基本読書

    先日こんなお知らせをしたばかりですがSFマガジンcakes版で「SF BOOK SCOPE」連載開始しました - 基読書 今度は紙版のSFマガジンでも連載を始めさせていただくことになりました。*1 とはいえお話自体は先にこっちで何か書きませんかと連絡もらっていたので(cakes版は昨年の12月に突如持ち上がった企画ですし)前後してしまったところはありますが。しかしまあなんというか、SFマガジンはSFファンからすれば憧れの地ですから自分の文章が載っているのは単純に嬉しいです。 SFマガジン 2015年 04 月号 出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2015/02/25メディア: 雑誌この商品を含むブログ (1件) を見るそもそも何を載せているのかといえばまず連載物として、2014年12月から2015年1月の間に出た海外SFをまとめてレビュウしています。これは次号以降も載ります。僕の前の

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    cocodemi 2015/02/28
  • SF BOOK SCOPE第二号「ロボットとの擬似家族小説にして痛快娯楽活劇——マデリン・アシュビー『vN』」掲載しました - 基本読書

    ロボットとの擬似家族小説にして痛快娯楽活劇ーーマデリン・アシュビー『vN』|SF BOOK SCOPE|冬木糸一|cakes(ケイクス) 現在無料掲載中です。経緯とかシステムはこちら⇒SFマガジンcakes版で「SF BOOK SCOPE」連載開始しました - 基読書  なんだろう。宣伝とかどうしたらいいのかよくわかんないですね。いちおうTwitterには流していますけどブログしか見ていない人もいるでしょうし、とりあえず方向性を探っているあいだは告知させてください。それでは、といって去っていくのもあれなのでなんか書きますか。雑記的な。 1発だけなら誤射かもしれないと偉い人はいいましたがこうして2発目が発射されると「ああ、当に連載している」と実感しますね。僕の記事は毎回載るのかどうかよくわからないところではありますけれども、とにかくSFマガジンcakesはいろいろと載せるものも揃いはじめ

    SF BOOK SCOPE第二号「ロボットとの擬似家族小説にして痛快娯楽活劇——マデリン・アシュビー『vN』」掲載しました - 基本読書
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    cocodemi 2015/02/01
  • 天冥の標VIII ジャイアント・アーク PART2 by 小川一水 - 基本読書

    天冥の標第一部からここまで、撒かれてきた種がここに来て一斉に芽吹きはじめた──。 天冥の標が出て最初に書かれた時系列までようやく辿り着き、別側面から描いてみせたPART1だが、「その先」が書かれるのがこのPART2になる。もはやことここに至ってネタバレ無しでレビューを書くような真似はしないが(もし未読でこのレビューを読んでいる人間がいるならこの記事を読んでくるが良い⇒全ての力を尽くして天冥の標シリーズをオススメする - 基読書)今回も読んでいて魂が震えた。イサリの決断と苦悩、ラバーズが模索し続けた「新たなる道」、変容し、多様化しつつある「ヒト」とはいったいなんなのかという問いかけ、そして何より理性でもって痛みを伴う決断をくだすことのできるリーダーとなったエランカという一人の人間──。 一巻から丹念に撒かれてきた種はここにきてその真価を発揮しつつある。中でもやはり特別なのは、作中の主要人物

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    cocodemi 2014/12/28
  • ニルヤの島 by 柴田勝家 - 基本読書

    一読してするりと飲み込める作品ではないが、その分きっちり読めば応えがある。こりゃまた随分とえらい変化球を投げ込んできたものだと拍手したくなる一作だ。 著者の柴田勝家さんは第二回SFコンテスト受賞作でこれが新人デビュー作だが、構成的にも語り的にもこれが一作目とは思えない密度。もちろんいろいろと荒いところがあるのは確かだし、断片的に語られていく形式と、その統合が表現的にこなれているかといえば、そんなこともない。それでもじっくりと断片を拾い上げながら最後まで読み、頭の中で統合して、「ニルヤの島」という景色を広げてみると、ああこれは凄いものを読んだし、物凄く読みづらかったが、この物語はこの形式でしか語りえなかったのだという静かだが深い実感がじわじわと広がってくる。 恐ろしいことに、4つのチャプターが入り乱れて話が進んでいき、最後にそれらが統合されるという形式をとっている。しかもそのチャプター内でも

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    cocodemi 2014/12/14
  • だれの息子でもない by 神林長平 - 基本読書

    今は亡き伊藤計劃という作家と、神林長平先生を思わせる作家の対話形式のフィクション『いま集合的無意識を、』の中で神林長平のような作家は次のように語っている。 「もちろんそれは大きな脅威だったと思うけれど、それはむしろ、語るべきことを彼の内面から引き出すきっかけにすぎなかったと思う。彼はそれをきっかけにして、現実というものの真の姿、<リアル>というものに直面したんだ。一般的に作家というのは、そうした、<リアル>に触れた瞬間の体験を、一生にわたって書き続けるものなんだ」 神林長平のような作家だけでなく、神林長平という作家もまた、彼の考える<リアル>について書き続けてきたのだといえる。世界とは一体どのように構築されているのか。物語るとはいったいどういうことなのか。言葉は人間にどのように作用するのか。そして、我々の未来にはこのままいくと何が起こるのか。神林長平先生の世界観、現実観といったものは、時を

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    cocodemi 2014/11/15
    あとで読む(本を読み終わってから)
  • NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫) by 大森望 他 - 基本読書

    NOVAというSF短編アンソロジーがかつてあり、オール書きおろしで短篇集を出し続けてきた意義は非常に大きかった。売上からみても短篇集より読者にとって求められているのは長編なんだろうと思うが、短編には個々の作家の世界観や能力、投擲範囲を示すことが出来る、ならではの良さがあり毎度楽しみに読んでいた。大御所から新人まで、毎度毎度いろんな作家に依頼をして短編をとってくるのは、日SFをちょっとでも書いていたり感心があったりすればまず大森望氏と知り合いであろうという異常な人脈と拾い上げの精神によってしかなされなかった企画だろうと思う。 ナンバリングタイトルだった事が災いしてか恐らく売上がだんだん落ちていったのだろうけど、10巻で一旦終わった後、NOVA+ということで+がついて帰ってきた。ざっと一読してどれも面白かったので突発的に読書会も企画して⇒誰得読書会『NOVA+ バベル: 書き下ろし日SF

    NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫) by 大森望 他 - 基本読書
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    cocodemi 2014/11/03
  • 誰得読書会『NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション』開催レポート - 基本読書

    日、SF短編アンソロジー『NOVA+ バベル: 書き下ろし日SFコレクション』で読書会を開催してきました。告知記事はこちら⇒誰得読書会@新宿付近 10月25日(土)課題:『NOVA+ バベル: 書き下ろし日SFコレクション』のお知らせ - 基読書 天気もよく気温もそこまで寒くなく良い感じだったかなと。誰得読書会では基的に短編アンソロジーを軸にして、一人一人がその短編につけた点数(10点満点)’とその点数の根拠、感想を言い合って回していくスタイルでやっています。今回八人にご参加いただきまして、これはかなり多い方ですね。今回の課題NOVA+は、これまでずっと出されてきたNOVA全10巻をいったん終わりにして、新しく一から新生し、プラスがついて蘇ってきたアンソロジー。第一発目ということで執筆陣もみな一球入魂気味だったり癖がありすぎたりする短編を書いており、一編一編のエネルギー量がと

    誰得読書会『NOVA+ バベル: 書き下ろし日本SFコレクション』開催レポート - 基本読書
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    cocodemi 2014/10/26