3月上旬、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の書評コーナーで取り上げられたのは、75年も前に亡くなった日本の作家、太宰治だった。日本では絶大な人気を誇りながらも、海外では長らく三島由紀夫の陰に隠れてきた彼の作品が、なぜいま、米国で日の目を見ているのか? 若者たちの間でシェアされる「奇妙な動画」 最初に聞こえてくるのは不気味な機械音だ。それから、意味ありげで不吉な声がこう言う。「教えて太宰、どうしてあなたは死にたいの?」 「逆に聞くけど」と別の声が真面目に言う。「生きる……と僕たちが呼んでいる行為に、本当に価値なんてあるんだろうか」。そしてビートが鳴りはじめ、歪んだ叫び声が聞こえてくる──。 TikTokには、この催眠術のようなセリフと音楽(曲はラッパーのMag.Loによるもの)を用いた動画が7500件近く投稿されている。同じセリフを別の音源と組み合わせたものも含めれば、その数はもっと多い。 叫
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