会社が,うつ病を理由に退職した社員に対して,虚偽の事実を捏造して退職し,就業規則に違反して業務の引き継ぎをしなかったことが不法行為に当たるとして,当該社員に対して,合計1270万5144円の損害賠償請求をしたのに対して,当該社員が,損害賠償請求の反訴をして,会社の訴訟提起が不法行為に該当すると判断された珍しい事件があったので紹介します(横浜地裁平成29年3月30日判決・労働判例1159号5頁・プロシード事件)。 まず,会社は,当該社員が退職したことによって,合計1270万5144円の損害が発生したと主張しましたが,労働者は,退職の2週間前までに労働契約の解約の申し入れをすれば退職をできるのであるから,会社が主張する損害と当該社員との行動の間には因果関係がないと判断され,損害賠償請求は認められませんでした。 次に,会社の訴え提起そのものが不法行為になるかについて,通常はよほどのことが無い限り
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