タグ

ブックマーク / saebou.hatenablog.com (112)

  • GTAオンライン内で『ハムレット』を上演するとどうなる!?~ゲーム画面を用いたドキュメンタリー『グランド・セフト・ハムレット』(Grand Theft Hamlet) - Commentarius Saevus

    『グランド・セフト・ハムレット』(Grand Theft Hamlet) を見てきた。これは新型コロナウイルス感染症流行によるロックダウンの際、『グランド・セフト・オート・オンライン』の中で『ハムレット』を上演しようとした人たちについてのドキュメンタリーである。終盤の数分以外、ほぼ全てがゲームを記録した映像で展開される。 www.youtube.com 2021年、新型コロナウイルス感染症によるロックダウンで仕事のない役者サムとマークは、いつも遊んでいる『グランド・セフト・オート・オンライン』のヴァインウッド(ハリウッドにすごく似てる)という地域の中に野外ホールなど芝居の上演ができそうな場所があるのを見つけ、ここで『ハムレット』を上演することにする。サムので映像作家であるピニー(この映画の共同監督)もGTAオンラインを始め、世界初のGTA内演劇プロダクションが始動する。いろいろ問題も出て

    GTAオンライン内で『ハムレット』を上演するとどうなる!?~ゲーム画面を用いたドキュメンタリー『グランド・セフト・ハムレット』(Grand Theft Hamlet) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2024/12/13
  • 須藤にわかさんの私に対する反論記事が、映画史的に非常におかしい件について - Commentarius Saevus

    先日アップされた私が『ダーティハリー』を批評したこちらの太田出版のエントリについて、須藤にわかさんという方が反論をしていました。 ohtabookstand.com note.com 簡単に説明すると、須藤にわかさんは私がアメリカンニューシネマ(1960年代末から70年代頃のハリウッド映画の新しい潮流をざっくり指す言葉)について嘘ばかり言っているとおっしゃっておられます。須藤さんがアメリカンニューシネマがお好きなのはわかりますが、これはまったく歴史的な経緯をふまえていない議論です。むしろ須藤さんのエントリのほうが、現在の映画批評で言われていることに比べるとだいぶ違うので、アメリカンニューシネマあるいはNew Hollywood(上記記事で触れているように、これは日語と英語では微妙にズレた意味で使われることもあると思いますが)について大きな誤解を招く可能性があると思います。私は基的に、先

    須藤にわかさんの私に対する反論記事が、映画史的に非常におかしい件について - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2024/08/25
  • ヒンドゥーナショナリズムと差別を辛辣に批判する暴力アクション~『モンキーマン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    デーヴ・パテール初監督作Monkey Manを見てきた。パテールが脚や主演もつとめている。 www.youtube.com 主人公のモンキーマン(実名は不明)は小さな頃に母を亡くし、ヤタナ(ムンバイをモデルにしたインドのゴッサムシティみたいなやばそうな町)で闇ボクシングなどで生計を立てつつ復讐の機会をうかがっていた。高給売春クラブにボーイとして潜入し、母殺しの犯人で警察のトップであるラナ(シカンダル・ケール)暗殺にもう一歩というところまで近づくが、うまくいかずにひどく負傷してしまう。ボロボロになったモンキーマンはヒジュラの神殿の庵主であるアルファ(ヴィピン・シャルマ)に救われ、神殿でトレーニングを積む。 『ジョン・ウィック』シリーズに韓国アクションやカンフー映画などを足したようなかなり暴力的なアクション映画である。パテールはもともと子どもの頃から格闘技を習っていてかなり心得があるそうで、

    ヒンドゥーナショナリズムと差別を辛辣に批判する暴力アクション~『モンキーマン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2024/08/14
  • 科学者の見る小さな世界と科学の大きな影響~『オッペンハイマー』(試写、ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    クリストファー・ノーラン監督の新作『オッペンハイマー』を見てきた。 www.youtube.com 物理学者で原爆開発の立役者のひとりであるJ・ロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィ)の伝記映画だが、全人生はカバーしていない。オッペンハイマーが若手研究者として頭角を現し始めたくらいから始まり、ルイス・ストローズ(ロバート・ダウニー・Jr.)が商務長官就任を却下されるところまでで終わる。この終わりはいったいオッペンハイマーの人生にどういう関係が…と思うかもしれないのだが、実際に見ると極めてきれいに着地している(ここも面白いのだが、あんまりネタバレすると良くないのでこのレビューでは割愛する)。 まず、序盤でけっこういやな気持ちになることを覚悟したほうがいい…というか、オッペンハイマーがロスアラモスにマンハッタン計画のための科学者村を作り、原爆の実験を成功させるまでが、まるでむちゃくちゃ

    科学者の見る小さな世界と科学の大きな影響~『オッペンハイマー』(試写、ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2024/03/08
  • いい芝居だが、キャスティングをもうちょっと…『やさしい猫』 - Commentarius Saevus

    劇団民藝『やさしい』を招待で見てきた。中島京子による小説が原作で、これはテレビドラマ化もされている。小池倫代台、丹野郁弓演出による舞台化である。 スリランカから日に引っ越してきた移民のクマラ(橋潤)は、東日大震災のボランティア活動で出会った保育士のミユキ(森田咲子)と付き合うようになる。ミユキは夫をなくしてひとりで娘のマヤ(井上晶)を育てていたが、マヤもクマラにすっかりなついて再婚秒読みとなる。ところがクマラが失業し、在留カードの期限も切れてしまう。急いで結婚したミユキとクマラだったが、クマラが入管につかまり、強制退去させられそうになる。ミユキは夫を助けるべく裁判を起こすが… 序盤は心温まるカルチャーギャップロマンスだが、後半はクマラがお役所の手続きに絡め取られて入管に人権を侵害されまくるホラーみたいな展開である。ウィシュマさん死亡事件や牛久入管での収容者虐待、日の不適切な在留

    いい芝居だが、キャスティングをもうちょっと…『やさしい猫』 - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2024/02/12
  • 不屈のデザイナーを襲う悪夢のロジスティックス地獄~『ファッション・リイマジン』(試写) - Commentarius Saevus

    ベッキー・ハトナー監督『ファッション・リイマジン』を試写で見た。ファッションブランドであるマザー・オブ・パールのデザイナーであるエイミー・パウニーのサステイナブルファッションへの取り組みを追ったドキュメンタリーである。 www.youtube.com エイミーはインフラもない田舎の農場でシンプルな暮らしをむねとする両親に育てられたそうで、そういうところでファッションに興味を持つのは特異なことだったようだ。とはいえそうした育ちからしてサステナビリティを重視するようになるのは当たり前で、だんだんデザイナーとしてのキャリアを確立したエイミーは、ファッション業界の在り方があまりにも環境に悪すぎることに心を痛め、2018年のコレクションでサステナビリティがコンセプトの服を作ることにする。 ところがサステイナブルな素材であるコットンとかウールについて、出所のはっきりした素材をまともそうな加工工場まで運

    不屈のデザイナーを襲う悪夢のロジスティックス地獄~『ファッション・リイマジン』(試写) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2023/09/21
  • ベルファストの厳しい現実と役に立ちすぎる哲学~『ぼくたちの哲学教室』 - Commentarius Saevus

    『ぼくたちの哲学教室』を見てきた。ベルファストにあるホーリークロス男子小学校の哲学教育を撮ったドキュメンタリー映画である。 www.youtube.com ホーリークロス男子小学校はベルファストのアードインにある小学校で、ワーキングクラスのカトリックの子どもたちが多く通っている。北アイルランド紛争で地域全体が疲弊したため、暴力犯罪やドラッグ、自殺が多発している。そんな中、子どもたちが暴力や犯罪にハマらないよう、ホーリークロス男子小学校では校長のケヴィン・マカリーヴィー先生を中心に哲学教育やメンタルヘルスのケアに力を入れている。 マカリーヴィー先生がかなり強烈なキャラで、哲学の先生なのだが、昔はいろいろお酒や暴力でトラブルを起こしたこともあり、そこから立ち直ったらしい。エルヴィス・プレスリーの大ファンで、スマホの着信音は常にエルヴィスだ。筋トレも欠かさないコワモテの先生でもある。マカリーヴィ

    ベルファストの厳しい現実と役に立ちすぎる哲学~『ぼくたちの哲学教室』 - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2023/06/04
  • 優しいが易しくはない映画~『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 - Commentarius Saevus

    金子由里奈監督『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』を見てきた。同名の原作の映画化である(かなり前だが小説も読んだことがある)。 www.youtube.com 恋愛をしたい気持ちがない七森(細田佳央太)は立命館大学(と思われる)に入学し、ぬいぐるみサークルに入る。ぬいぐるみサークルはぬいぐるみを作るサークルと名乗っていたが、実はぬいぐるみに話しかける人たちのサークルだった。七森はぬいぐるみサークルで活動しつつ、同じサークルメンバーの白城(新谷ゆづみ)と付き合ってみようとするが… アセクシュアル・アロマンティックで伝統的なジェンダーロールにも馴染めない七森を中心に、ぬいぐるみとの話を通して見えてくる傷つきやすい若者たちを描いた作品である。七森は他の人たちが恋愛をしているのを見て、自分も恋愛をしたほうがいいのでは…と思い、ぬいぐるみサークルの中ではずいぶんと社交的な白城と付き合ってみるのだが、

    優しいが易しくはない映画~『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』 - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2023/04/28
  • ポストモダンなメタ映画a.k.a.金かけたオタクの遊び、そして変ちくりんだがクィアではなく~『バビロン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    デイミアン・シャゼル(「チャゼル」表記が多いが「シャゼル」に近い発音らしい)監督の新作『バビロン』を見てきた。 www.youtube.com 舞台は1920年代末から1930年代初頭、サイレントからトーキーに移り変わるプレコード・ハリウッドの時代である。サイレント期からのスターであるジャック・コンラッド(ブラッド・ピット)、スターを目指す若手女優ネリー・ラロイ(マーゴ・ロビー)、映画界に入りたいと願い、ひょんなことからジャックのアシスタントになってだんだん制作側として頭角を現すマニー・トレス(ディエゴ・カルバ)の3人が主要キャラクターで、他にもいろいろと映画関係者が絡んでくる。長尺でわりといろいろなことが起こるのだが、簡単に言うとこの3人の栄光と衰退の物語である。 全体としては、真面目な言い方で説明すると、映画映画史に関するポストモダンなメタ映画、不真面目な言い方で説明すると金かけた映

    ポストモダンなメタ映画a.k.a.金かけたオタクの遊び、そして変ちくりんだがクィアではなく~『バビロン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2023/02/14
  • 体力の要るひとり芝居~『プライマ・フェイシィ』 - Commentarius Saevus

    NTライヴで『プライマ・フェイシィ』を見てきた。スージー・ミラー作、ジャスティン・マーティン演出で、ジョディ・カマー主演のひとり芝居である。ハロルド・ピンター劇場で上演されたものを映像化している。 www.youtube.com リヴァプールのワーキングクラスの家庭出身で、刻苦勉励して法廷弁護士になったテッサ(ジョディ・カマー)は犯罪の弁護が専門だった。性犯罪者の弁護もたくさん手掛けていたが、ある日、思いもよらないところで性暴力にあってしまう。自分が遭遇したケースが有罪になりづらいことを弁護士として理解しつつ、警察に訴えることにしたテッサだったが… ひとり芝居にしてはやや長く、やるほうも見るほうもかなり体力の要る芝居である。『最後の決闘裁判』でも勇気ある性暴力被害者を演じていたジョディ・カマーの熱演で、最初はいろいろ笑うところもあるのだが、だんだん全く笑えないつらい芝居になってくる。テッサ

    体力の要るひとり芝居~『プライマ・フェイシィ』 - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2022/08/30
  • 子どもは大人と対等なひとりの人間だが、それでも子どもだ~『カモン カモン』(ネタバレ) - Commentarius Saevus

    マイク・ミルズ監督の新作『カモン カモン』を見た。 www.youtube.com 主人公のジョニー(ホアキン・フェニックス)はラジオの仕事をしており、アメリカ各地の子どもたちに会って未来についての質問をするというプロジェクトを行っている。ジョニーの妹ヴィヴ(ギャビー・ホフマン)は元夫ポール(スクート・マクネイリー)が心の病気になってその世話に行かねばならなくなり、ジョニーは妹の息子ジェシー(ウディ・ノーマン)を預かることになる。ポールの具合が悪く、ジョニーがジェシーの面倒をみる期間が長くなるうち、2人の関係はいろいろ問題も生じつつ深まっていく。 ひとり暮らしの男が子どもの世話をすることになって…みたいな映画はけっこうあるが、この映画はわざとらしい感動を排して、子どもは大人と対等なひとりの人間であるが、それでも子どもなのだ、というけっこう難しい内容をかなり多層的なやり方でちゃんと描こうとし

    子どもは大人と対等なひとりの人間だが、それでも子どもだ~『カモン カモン』(ネタバレ) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2022/05/02
  • オカルト、ぺてん、力~『ナイトメア・アリー』(ネタバレ) - Commentarius Saevus

    ギレルモ・デル・トロ監督の新作『ナイトメア・アリー』を見てきた。 www.youtube.com 1939年、相当なわけありらしいスタン(ブラッドリー・クーパー)が、さまざまなあやしげな見せ物が売りの移動遊園地(カーニバル)に流れ着くところから始まる。いろいろな見せ物の手伝いなどで重宝されるようになり、千里眼ショーをやっているジーナ(トニ・コレット)とピート(デヴィッド・ストラザーン)に気に入られて読心術を身につけるようになる一方、電流ショーをやっているモリー(ルーニー・マーラ)と恋をし、一緒に出ていくことにする。2年後、スタンとモリーは街で読心術ショーで人気を博すようになっていたが、精神科医のリリス・リッター博士(ケイト・ブランシェット)にトリックを見破られそうになり、スタンはジーナやピートからやるなと言われていた霊媒のふりを始めるようになる。 前後編に分けてスタンの人生を追うというもの

    オカルト、ぺてん、力~『ナイトメア・アリー』(ネタバレ) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2022/03/26
  • とてもいびつな探偵もの~『THE BATMAN ザ・バットマン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『THE BATMAN ザ・バットマン』を見てきた。 www.youtube.com 主人公であるバットマンことブルース・ウェイン(ロバート・パティンソン)は大変引っ込み思案な性格で、ここ2年間、夜は正体を隠してバットマンとして活動しているが、他は経営も財産管理もほぼほったらかして屋敷の管理も執事アルフレッド(アンディ・サーキス)にまかせきりである。ゴッサムは市長選の最中だが、現職で選挙出馬中のミッチェル市長(ルパート・ペンリー=ジョーンズ)が殺害されてしまう。バットマンは正体を隠したまま、ゴードン警部補(ジェフリー・ライト)と協力して捜査にあたるが、どんどん被害者が増えて… かなり探偵ものノワールっぽい作りの作品である。パティンソンを初めとして役者陣のキャラが良く、面白いところはたくさんある。バットマンがあまりにも社交スキルが低くてお金持ちの御曹司っぽくなく(このブルース・ウェインは経営

    とてもいびつな探偵もの~『THE BATMAN ザ・バットマン』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2022/03/19
  • 漂白された雪景色~『ユンヒへ』 - Commentarius Saevus

    『ユンヒへ』を見た。 www.youtube.com 韓国に住むユンヒ(キム・ヒエ)は離婚し、ひとりで娘のセボム(キム・ソへ)を育てていた。そこに届いたジュン(中村優子)という女性からの手紙をきっかけに、いろいろあってユンヒはジュンが住む北海道の小樽に旅をすることになる。セボムはいろいろ画策して2人を会わせようとするが… 女性同士の細やかな恋愛感情に母と娘、おばのマサコ(木野花)と姪の関係などを丁寧に描いている作品である。そこに韓国と日、両方の国での性差別や民族差別を絡めている。クィア映画としてはよくできた作品だとは思う。 しかしながら、道産子である私がものすごく違和感を抱いたのは小樽の描写である。フィルムコミッションがかかわっていて小樽の地元の風景がたくさん織り込まれた観光映画なのだが、この小樽の描写が韓国の描写に比べて生活感に欠け、ほぼ理想化された観光地としての雪国、ある種の漂白され

    漂白された雪景色~『ユンヒへ』 - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2022/01/13
  • マシュー・マコナヘイと「デカチン」の含意(2)~『ビーチ・バム まじめに不真面目』(本日のエントリには下品な表現とネタバレが含まれます) - Commentarius Saevus

    先日の『ジェントルメン』の批評の続編として、こちらのエントリではハーモニー・コリン監督の『ビーチ・バム まじめに不真面目』をとりあげ、さらにマシュー・マコナヘイの「デカチン」的役柄について論じていきたい。この作品はまさにマシューのデカチンキャラクター造形が完全に開花している作品である。 www.youtube.com 主人公である才能豊かな詩人のムーンドッグ(マシュー・マコナヘイ)は、アーネスト・ヘミングウェイが愛したキーウェストの周辺で酒とマリファナでラリラリになり、気が合いそうな女がいれば気ままに口説き、さらにめちゃくちゃ可愛いネコまで拾って楽しく暮らしている。働かずに暮らせるのも全て、マイアミに住む大金持ちの愛ミニー(アイラ・フィッシャー)のおかげである。しかしながら娘の結婚式に出席するためにマイアミに戻っている間にムーンドッグとミニーはひどい交通事故に遭い、ミニーが死亡してしまう

    マシュー・マコナヘイと「デカチン」の含意(2)~『ビーチ・バム まじめに不真面目』(本日のエントリには下品な表現とネタバレが含まれます) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2021/06/14
  • これがディズニーのパンク観か…『クルエラ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『クルエラ』を見てきた。往年の有名アニメ『101匹わんちゃん』(1961)に登場するディズニーヴィラン、クルエラ・ド・ヴィルの若き日を描く実写スピンオフである。『アイ、トーニャ』のクレイグ・ギレスピー監督作である。 www.youtube.com 舞台は1960年代半ばから70年代半ばのイギリス(主にロンドン)で、真ん中で黒と白に分かれた髪の毛が特徴でいじめられっ子だが非常にファッションセンスのあるエステラ(別名クルエラ、大人になってからはエマ・ストーンが演じる)がヒロインである。ダルメシアンが関係する悲惨な事故で母をなくしたエステラはロンドンでスリ稼業を営むジャスパー(ジョエル・フライ)とホーレス(ポール・ウォルター・ハウザー)と出会い、泥棒稼業に精を出す。やがてエステラはリバティで働くようになり、デザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)に能力を認められてバロネスのメゾンで働くようになる

    これがディズニーのパンク観か…『クルエラ』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2021/06/13
  • すごく良くできている作品だが、社会性がありすぎて…『ソウルフル・ワールド』(配信) - Commentarius Saevus

    ディズニー/ピクサーの『ソウルフル・ワールド』を配信で見た。 www.youtube.com 主人公は音楽教師で売れないジャズミュージシャンであるジョー(ジェイミー・フォックス)である。ジョーはやっと学校で非常勤から正規雇用にしてもらうことができたが、同じタイミングで有名なミュージシャンであるドロシア・ウィリアムズ(アンジェラ・バセット)のライヴでピンチヒッターとしてピアノを弾く仕事の話が来る。夢が叶うかもと浮かれたジョーは注意力散漫になって道路でマンホールに落っこちてしまい、昏睡状態でジョーの魂(ソウル)があの世に向かう。自分が死にかけていると気付いたジョーの魂はなんとか死から逃げようとするが、ひょんなことから人間が生まれる前の世界に迷い混んでしまう。生まれる前の世界はまだ人間界に誕生していない生命のソウル(魂)たちがいろいろ生まれるための準備をするところで、ソウルたちは亡くなった人の魂

    すごく良くできている作品だが、社会性がありすぎて…『ソウルフル・ワールド』(配信) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2021/01/25
  • 佐藤由美子さんの「日本語版ウィキペディアで「歴史修正主義」が広がる理由と解決策」について - Commentarius Saevus

    ここ数日よく読まれているらしい、佐藤由美子さんの「日語版ウィキペディアで「歴史修正主義」が広がる理由と解決策」というエントリを読みました。こちらは月末の学会で発表するための準備のようなものだということです。 yumikosato.com こちらについて、日語版ウィキペディアに歴史修正主義がはびこっているとか、間違いだらけだということについては私もとくに異論はないのですが(間違いだらけで信用できないということは私もメディアに出るたびに言っているし、できるところは対処してます)、いくつかけっこう大きな事実誤認や、ウィキペディアの手続きに関する理解不足と思われるところがあります。ブログのコメント欄に書いて指摘したのですが、スパムフィルタか何かに引っかかったのか反映されていません。学会で発表するということであればウィキペディアじたいの仕組みについて誤解があるままだとあまり良くないだろうと思うの

    佐藤由美子さんの「日本語版ウィキペディアで「歴史修正主義」が広がる理由と解決策」について - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2021/01/18
  • 「運命の男」とハードボイルドヒロインの誕生~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus

    『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』を見た。言わずと知れたルイーザ・メイ・オルコットの有名作の映画化なのだが、まあセンスのない日語タイトルがついている。グレタ・ガーウィグ監督作である。 www.youtube.com お話は『若草物語』に忠実でありつつ、かなり変えている…というか、みんなが疑問に思いがちなジョー(サーシャ・ローナン)の結婚について、メタフィクション的なものすごくひねったオープンなエンディングを用意している。さらに時系列を乱した編集になっており、最初はなんか「え、もうローリーふられた後なの!?」みたいなところから始まってちょっと面らったのだが、だんだん少女時代と現在の似たような体験が併置され、それがジョーの頭の中で物語になっていくプロセスを示すためにこういう構造になっていることがわかってくる。これは脚色としては大変凝ったうまいやり方で、古典の再構成としてはお

    「運命の男」とハードボイルドヒロインの誕生~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(ネタバレあり) - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2020/06/24
  • コンセプトと商機~『マジック・マイク・ライヴ』 - Commentarius Saevus

    ヒッポドローム・カジノで『マジック・マイク・ライヴ』を見てきた。『マジック・マイク』のチャニング・テイタムがプロデュースしているショーで、まずはラスヴェガスで初演し、それをロンドンに持ってきたものである。チャニング・テイタム自身が出るわけではなく、声だけの出演だ。 www.magicmikelondon.co.uk 最初はやたらとFワードを連発する男性ホストが客席の女性ソフィを舞台にあげてストリッパーに客いじりをさせようとするのだが、このソフィは押しつけがましく提供されるショーやサービスがイヤで反旗を翻し、ショーをのっとってしまう。実はソフィが当の司会で、性差別主義者の古くさい司会は追っ払って女性たちで楽しみましょう、みたいなトークをした後、ソフィが夢見るいろんなステキな男性たちが登場し、ダンスやアクロバットをする。この冒頭部分は、エロティックなものに限らず女性向けのコンテンツがかなり男

    コンセプトと商機~『マジック・マイク・ライヴ』 - Commentarius Saevus
    cohal
    cohal 2020/02/11