『となりのトトロ』は“絶対お客が来ない映画”だった ――映画が経済的にうまくいかなかった経験はありますか? 宮崎 ある時期まで「自分たちのかかわるアニメーションは経済的に成功しない」という自信を持っていた時期があります。それはそういうものだと思っただけで、自分たちの方針を変えたいとは思いませんでした。 『となりのトトロ』※という作品の企画が通った時も、奇跡的に針の穴を通すような偶然がいくつか重なって実現したんです。あの映画はそれまでの日本映画の常識で言えば、“絶対お客が来ない映画”だったわけですから。 ――自分の作りたいものと、売れるものを作ってほしいと言われるプレッシャーとのジレンマを感じたことはありますか? 宮崎 アニメーションを作るのは個人的な努力だけではなくて、本当に面倒臭い仕事をいっぱいやらないといけないのです。個人的にも本当に膨大な作業量がなくてはいけないのです。それで「お金が