医師不足が深刻化する契機となった新臨床研修制度。17日の検討会では、約1万2000人の医学生や研修医らの生の声を集めた調査結果が公表された。そこからは、なぜ医師の地域偏在や、診療科ごとの偏りが起こるかが見えてくる。大都市に集中 研修医が大都市に集中してしまったことが、地方での医師不足の背景だ。来春から、2年間の研修が始まる現役医学生らの希望調査では、東京など大都市の民間病院が人気を集める一方で、富山など地方の病院が募集定員を下回っている。 しかし、今回の調査では約7割の医学生が「条件が合えば医師不足地域で研修をしてもいい」と回答した。来春から臨床研修予定の大阪の公立大学に通う男子医学生(26)は「いい医者になりたい。指導医や研修プログラムがいい病院なら、医師不足の僻地(へきち)の病院でも行く人はいると思う」と話す。 調査では、地方へ行く条件(複数回答)として「給与などの処遇・待遇がよい」(
関東一都六県(東京、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川)の自治体病院の九割近くで、医師が不足していることが東京新聞のアンケートで分かった。常勤医は必要数の80%にとどまっており、特に内科や小児科、産婦人科、救急部門などで不足していた。六割の病院が診療体制を縮小・制限しており、深刻な医師不足の実態が浮き彫りになった。
関東地方の自治体病院のほとんどで、医師不足に悩んでいる現状が本紙のアンケートで浮かび上がった。回答した病院の33%が診療科によっては「最低限の診療に必要な医師も足りない」と悲鳴を上げた。一度は閉院の危機に見舞われながら、病院経営の経験を持つベテラン院長の活躍で今秋、再スタートした病院を訪ね、再生への処方せんを探った。 (西田義洋、足利支局・梅村武史) 栃木県南部の中核病院の一つ、佐野市民病院(二百五十八床、旧県南総合病院)。新しい研修医制度の影響で、大学医局による医師引き揚げが始まったのは、国が制度を導入した前年の二〇〇三年度のことだった。 引き揚げや開業などで二十一人いた常勤医が十三人に激減。その後も減り続け、昨年一月ごろには当時の院長ら常勤医八人全員が退職の意向を表明。閉院を前提に入院患者や人工透析患者らの転院が進められた。そんなとき、県内の医療関係者から窮状を聞きつけたのが、山梨県で
◇開業医50人のグループで予算管理、地域10万人の健康管理を担う。 ◇医療予算を約10年で倍増、国民の満足度も上がった。 近年、大きな改革を遂げて劇的に改善したといわれる英国の医療。日本が学ぶべきことは何か。(編集委員 南 砂) 先ごろ開かれた第13回厚生政策セミナー(国立社会保障・人口問題研究所主催)で基調講演をしたジュリアン・ルグラン・ロンドン大学教授(公共政策)は、英国医療改革の鍵となった「準市場」の概念を提唱した人物。同教授は、市場原理が働きにくい医療政策の運営には4つのモデルがあるとして、〈1〉専門家の裁量に任せる〈2〉専門家を管理統制する〈3〉消費者の声を尊重する〈4〉選択、競争を組み合わせた「準市場」を導入する、の4型を列挙。最も短所を抑え得る〈4〉で、英国は成功したと語った。 英国の歩み自体が4つのモデルの実験だった。NHS(国民医療サービス)と呼ばれる英国医療制度は完全国
「総合診療科」のドアを開けると、広い待合室。看護師が長いすの横に腰を落として、初診の患者に症状を詳しく聞いている。受け付けカウンターの中では、問診した内容を電子カルテへ入力する看護師たち。数少ない医師の事務作業を減らすために、看護師の守備範囲は広い。 兵庫県養父(やぶ)市の公立八鹿(ようか)病院が、新病院建設に際して一昨年からスタートさせた総合診療科。長年のチーム医療の取り組みを基に、医師不足の中で効率よく医療を進めていくノウハウが、随所に見られる。 同病院は診療所などからの紹介患者を予約制で診療しているが、総合診療科は急病患者などの受け皿。研修医を含めた内科医十一人全員で、専門の枠を超えて患者を診る。消化器が専門の医師が脳出血の患者を診ることもあるし、医師の人手が足りない外科系の初診も手がける。受診の順番は「急を要する人が先」。救急も同科の担当だ。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く