ITER(読みは「イーター」)をご存知ですか? 日本語だと「国際熱核融合実験炉」と言われるプロジェクトのことです。ITERは、かつてはこの日本語に対応する英語の頭文字だと説明されていましたが、今では公式にも、ラテン語で「道」とか「道のり」とか「旅」という意味をもつ言葉だと言われるようになっています。 今日、原子力発電に使われている原子核反応は、重い原子核が分裂する「核分裂」ですが、ITERがやろうとしているのは、軽い原子核同士が融合する「核融合」という反応です。 そのための原料となるのは、宇宙で一番ふんだんに存在し、地球上にもたっぷりある元素、水素なので、資源が枯渇する心配はありません。核反応の結果として、(核分裂の場合のように)やたら寿命の長い放射性元素が出てくることもなく、核反応が暴走することもなく、メルトダウンもなく……と言うわけで、夢のエネルギーとして、国際協力で研究が進められてい