経済力があって、かつ生活の質の高い都市を主体的につくるために「ヒト」が大切だということは、大多数の人が認めるところであろう。 地方分権型のドイツには、小さな地方都市でも元気なところが割と多いが、こうした都市を支えるのは、積極的な市民参加をして自治を担うエリート市民層だ。なぜ市民による主体的な都市運営が可能なのだろうか。そこには、日本とは質の異なる、高学歴層への教育が関係している。 古典を学び、文化を重視する「教養市民」とは? 現在のドイツの都市運営の原型は、19世紀半ば以降につくられた。このとき活躍したのが、都市官僚たちだ。彼らは「教養市民」と呼ばれるドイツ独自のエリート層で、ギリシャ語やラテン語といった古典を学び、文化を重視する。こうした都市官僚たちは、理念や統合性を重んじ、都市の全体像を見ながら、長期的視点に立った都市運営を行った。 現代の都市運営の担い手も、この「教養市民」の系譜をひ