Yについて話す。 はじめて会ったときのYは私の中学校の同級で、いつもクラスメイトに殴られたり蹴られたりしていたせいか、いつの日からか学校に来なくなった。私は友達がひとり減って残念だったが、とくに何もしなかった。勝ったところで楽しみが得られない戦いからは逃げるのがいちばんいいので、Yの撤退はもっともなことだったし、そもそもYの家がどこにあるか私は知らなかった。先生に聞いて会いに行くというのも、なにか彼に同情しているような感じがして嫌だった。 Yは義務教育の成績がいいわけでもなかったし、醜男で会話もうまくなかったが、二人きりで落ち着いて話ができるときには静かにアニメやゲームの話をした。彼は言葉をよく選んで話し、理路整然としたしゃべりかたをした。「意味がある」という理由でガンダムシリーズを敬愛し、「意味がない」という理由でいわゆる「日常系アニメ」を嫌悪していた。好きなライトノベルは秋山瑞人の「イ
![【電遊奇譚:其二】人知れず去っていった天才シューティングゲーマー](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/bbd32d777d0ec5efd97446349ac1541549b66a6b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fsm.ign.com%2Ft%2Fign_jp%2Fscreenshot%2Fdefault%2F001_fr54.1200.jpg)