十数年前〜数年前までのゲームミュージックは、差異化ゲームや優越感ゲームに使えない音楽だった。 つまり、ゲームミュージックは「ライバル達に差をつける」ためにひけらかしたり、「クラスメートよりもクールな自分自身」に陶酔したりするのが難しい分野だった。少数の例外*1を除いて、ゲームミュージックは「オタクの音楽」「薄暗いゲーセンのBGM」といったネガティブな評価を下されやすく、クラスメートにひけらかすのも不可能に近かった。例えば、『ダライアス』のラスボスのBGMがどんなに気に入っていても、あの曲が差異化ゲームや優越感ゲームのダシになるなんて状況は殆どゼロに等しかったわけだ。 それでも、当時の僕はゲームミュージックが好きだった。コナミ矩形波倶楽部に惚れ込み、ZUNTATAのCDを探し回り、『ドラクエ』の音楽を口ずさみむような、そういうゲーオタだった。「ライバル達に差をつける」どころか、曲を知っている