今回の絶版騒動のきっかけになった、 飛鳥部勝則氏「誰のための綾織」における、三原順氏「はみだしっ子」との類似点比較 の問題点は、「誰のための綾織」と「はみだしっ子」の間の表現が同一あるいは類似しているかどうかを比較するにとどまり、同一あるいは類似している箇所について「はみだしっ子」の表現の創作性(思想感情が個性的に表現されているか?)について見当をしていない点です。 「はみだしっ子」の表現に創作性がないというと、ファンの方は怒るかもしれませんが、作品全体として創作性が認められる場合でも、作品を構成する個々の文章を見た場合には創作性が認められないということはよくあります。 このことは、著作権法のイロハに属することです。 著作権法の教科書的に取り上げられる典型的な事例としては、川端康成の「雪国」の有名な冒頭文、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」を挙げることが出来ます。この文章には創