お門違いの請求 韓国の最高裁にあたる大法院は先週火曜日(10月30日)、韓国人の原告4人が第2次世界大戦中の強制労働を理由に損害賠償を求めた裁判の差し戻し上告審で、新日鉄住金の上告を退け、4億ウォン(約4000万円)を支払うよう命じる判決を下した。 この判決は、こうした元徴用工問題について「1965年締結の日韓基本条約や日韓請求権協定で解決済みだ」との立場をとってきた歴代の両国政府の立場を真っ向から否定するものだ。大法院の13人の判事のうち、2人が「日本企業でなく韓国政府が強制徴用被害者に正当な補償をすべきだ」として請求棄却を主張したものの、少数意見で採用されなかったという。 その影響は深刻である。両国の関係を根底から揺さぶり、日本と日本人の韓国という国家に対する信頼を損なうだけではすまないだろう。係争中の裁判で日本企業の敗訴が続く恐れがあるほか、新たに同種の訴訟を誘発する懸念がある。 加