専門性の高い科学の研究に、一般の市民が加わることはできるのか。加われば、科学研究に新しい潮流を呼び込むことができるのか。どうすれば、お互いに満足が得られるのか。それで社会はよくなるのか——。科学者と市民が一緒になって科学の成果を生み出そうという「シチズンサイエンス」の試みが、日本でも始まっている。 市民が銀河を分類する 新年が明けて間もない2018年1月8日。成人の日のこの日、東京都三鷹市の国立天文台に、天文ファンなど約30人の市民が集まった。「市民天文学ワークショップ」の参加者だ。市民天文学。国立天文台が今回のプロジェクトを始めるにあたって作った造語だ。 国立天文台は、ハワイ・マウナケアの山頂に建設した巨大な「すばる望遠鏡」を、2000年から本格的に運用している。標高は約4200メートル。空気は澄んでいて、天体観測に適している。広い視野をいちどに撮れる高性能のカメラを備えており、今では大