●特設コラム: 胃がん検診のありようを考える 古今東西,よりよい技術革新を導くエネルギーは,決して突然わき上がるのではなく,不合理な現実を直視しながら充電されるものである.赤さびたX線検診に対する無力感,憤りをバネに,今日まで議論が沸騰してきた胃がん検診の諸問題であるが,何やら無用の放電を繰り返して空だき状態となってきた雰囲気がある.このような閉塞感漂う中で,平成22年度は,2つの対極的光源というべき臨床現場と研究理論の立場から,熱い刺激を提供する講演会が開催された.主なテーマとなったABC検診の話題や科学的論法の仕組みをもとに,異なる視点から検診のありようを考えてみたい. 新たな検診システムにむけてのエネルギー 昨年平成22年10月9日,京都国際観光ホテルで催された“明日の胃がん検診を考える会”は,NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構(理事長 東邦大学名誉教授 三木 一正先生)の