第9回:愛しのフリーダ名誉と栄光と恥辱、愛と憎悪が渦巻いているであろうポップスターの世界。しかもザ・ビートルズという人類史上に燦然と輝く超弩級のポップスターのそばに、こんなに可愛くて、しかもとても高潔な人格の女性がいたなんて! Courtesy of Freda Kelly これはとても、とても愛らしい映画である。 フリーダというのは、ビートルズの秘書を長年務めた女性フリーダ・ケリーのことだ。彼女はまだ17歳だった時、会社の昼休みに同僚に誘われてリヴァプールのキャヴァーン・クラブに出かけた。そこで出逢ったのが、革ジャンを着たビートルズの4人。まだリンゴ・スターはいなくてスチュアート・サトクリフがいて、ハンブルグ巡業を終えた後、そしてもちろんレコードデビューする以前の話である。 自分よりも、ほんの数歳年上の若者たちのバンド。彼女はその演奏にすっかり夢中になり、毎日のようにクラブに通う熱烈なフ