ビジネスにデザイン発想が求められる時代に 井登さんが社会人になったのは、1月に阪神淡路大震災、3月に地下鉄サリン事件が起きるなど、激動のスタートだった1995年。大学では社会学を専攻し、フィールドワークによる社会調査に熱中していたことから、ユーザーリサーチ・マーケティングリサーチの領域に興味を持ち、企業のマーケティングを支援する会社に就職しました。 「当時はアメリカ・北米を中心としたITバブルのさなかで、ソフトウェアデザインやウェブデザインの盛り上がりがあった時期。ユーザーのニーズをリサーチし、それを解決するためのデザインをしていくという、今で言うヒューマンセンタードデザイン(HCD/人間中心デザイン)や、UXデザインの勃興期でした。 『この領域のデザインは面白いぞ』と、社内の仲間と一緒に専門部署を立ち上げたのが2000年ぐらい。HCDなどの重要性について企業に提言してもなかなか理解されず